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BLの丘
ただそこにいて 49
2011-10-12-Wed  CATEGORY: ただそこにいて
無言の拒絶だった。
吉賀を受け入れようとしたのに、俊輔が見せたものは完全なる拒否。
体を繋げる恐怖を強張る体が表している。
もっと簡単に、吉賀を受け入れられるものだと思っていた…。
伊佐の時は平気だったはずなのに…。そう思いながら、唯一触れられなかった場所を思う。
伊佐は、『セックス』というものを行いながら、俊輔の後孔に触れることはなかった。
ただ気持ちいいことだけを教え込ませたのだ。
苦手意識を持たないように。過去の恐怖を払拭するように。

こんなことで吉賀を拒絶したくないのに、巣食う過去の痛みは俊輔の中にしっかりと根付いている。
「俊輔…」
すっかりやる気を失った吉賀が俊輔を気遣ってくれる。
俊輔は「ごめん…」とひたすら呟くしかない。
そんな俊輔を見て「何で俊輔が謝るんだよ…」と悔しさをにじませた。
こうなる原因が吉賀にあることを本人が一番良く知っている。だからこそ俊輔から謝罪の言葉なんて聞きたくないのだろう。
脱がした服を俊輔の体に掛けてくれた。
もうこれ以上は何もしない…。無言の時がそう告げてくる。

「吉賀…」
「俺、俊輔に何してやれるんだろ…。脅えさせるだけかよ…」
「ちがっ…。俺だって本当は…っ。…でも…」
「うん…。ありがと…」
「本当だよ、本当に…っ」
「わかってる…。俊輔の気持ちを聞けただけでも嬉しかった…」
まるでこのまま離れてしまうような焦りに襲われた。受け入れられなければ見限られる…。
相手に満足の一つも与えてあげられないようなら、傍にいる意味がない。
不安を抱えながら俊輔は両手を伸ばすと、吉賀の体に抱きついた。
「好きなのに…、…ごめん…」
「だから謝るなって…」
吉賀も抱き返してくれて、啄ばむようなくちづけが降ってくる。
気持ちが繋がっている、それだけではダメなんだろうか…。

俊輔は身支度を整えると、一度自分の部屋に戻った。
一時はこのままここで眠れるのではないかと思いはしたが、先程の反応を思い返しても、今夜何が起こるかは俊輔ですら予想もできない。
いざとなったら吉賀を頼ればいいと過った考えも、吉賀の傍で眠ることはできるのだろうかという疑問に変わる。
何より、吉賀の睡眠を妨げる気がした。
寝不足では注意力が散漫でいい仕事なんてできるわけがない。
それを思うと、常に俊輔のそばに居続けた伊佐の強靭さに驚き、感心した。

自分が本当に安らげる場所はどこにあるのだろう…。

部屋でボウっとした時を過ごしていると、ふいに携帯が鳴った。
掛けてきたのは伊佐だ。
『俊くん?なかなか帰ってこないから知名にでも捕まっているのかと思ったけど…。どこにいるの?』
その話ぶりはすでに津和野と連絡を取り合った後であることを意味していた。
どれくらい定まらない考えを持ってこの場所に居てしまったのかと振り返った。
出勤初日だったから津和野に心配されていてもおかしくない。ましてや昨夜の一件があった後なのに、珍しく津和野は姿を見せなかった。
終業後もさっさと吉賀に連れ去られて姿をくらましたようなものだったし、そうともなれば伊佐の元に帰ったのだと思われていたのだろう。
津和野がそれ以上俊輔のことを気にかける理由はなくなる。
伊佐の声を聞いては、何故かホッとした。知らずに涙が浮き上がり溢れ出た。
吉賀に何もしてやれない不甲斐なさと、伊佐のどんな悩みでも聞いて包んでくれる優しさを感じて、また津和野に気にかけられなかった子供じみた淋しさを抱き、込み上げてくるものがある。
俊輔の嗚咽は確実に伊佐の耳に届いていた。
『俊くん?…俊輔?』
「伊佐、さん…、俺…」
言葉を発しかけた時、部屋の呼び鈴が鳴った。

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コメント

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No title
コメントけいったん | URL | 2011-10-12-Wed 09:11 [編集]
心は、吉賀に寄り添っているのに 体が...

その原因を作った吉賀が辛いのは 当然!
でも 一番辛いのは 俊輔だから~ウル(T-T*)ウル

そんな時に 伊佐からの電話 
要所要所で支えてくれる人に 頼っても縋っても 仕方ないよね。
(。TωT。)】ゝゥ...モシモシ...byebye☆
Re: No title
コメントたつみきえ | URL | 2011-10-12-Wed 16:40 [編集]
けいったん様
こんにちは。

> 心は、吉賀に寄り添っているのに 体が...
>
> その原因を作った吉賀が辛いのは 当然!
> でも 一番辛いのは 俊輔だから~ウル(T-T*)ウル

気持ちは吉賀にあるんですよね~。でも…。
思い出してしまう恐怖は俊輔の中で渦巻いていて、身体が拒絶してしまう。
双方で辛い思いをしている現在です。

> そんな時に 伊佐からの電話 
> 要所要所で支えてくれる人に 頼っても縋っても 仕方ないよね。
> (。TωT。)】ゝゥ...モシモシ...byebye☆

一番大事な時にそばにいてくれる人。しかも魔法使いときたもので…(笑)
えぇ、もう。どんな魔法でもかけてくれって逃げ込みたくなりますわなぁ。
想うと頼るはちょっと違うのかなぁと…。
私もモジモジしながら続きを書きます。
コメントありがとうございました。
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