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BLの丘
ただそこにいて 46
2011-10-09-Sun  CATEGORY: ただそこにいて
俊輔は自分が何を口走ったのかと思わず振り返った。
それとなく漏らしてしまった『好き』は吉賀の耳にしっかりと入りこんでいた。
とりかえしのつかない内容…。いや、自分の心を伝えた話…。
食いついてくる吉賀が逃がさないようにと腕の力を強めた。
覗きこんでくる瞳は今まで見た以上に真剣で、俊輔を思ってくれていた。
「俊輔、今何て?!俺のことなんて?!」
せっつかれるように飛び込んでくる吉賀の思いに、一瞬の迷いと焦りがよぎっていく。
ここで本当のことを打ち明けた時、吉賀に嫌われることはないだろうか…。まだ好きでいてくれるのだろうか…。
「俊輔っ?!」
本音を伝えたはいいが、突如口をとじてしまった俊輔に、俊輔以上の焦りを浮かべた吉賀が掴みかかってくる。
今の言葉を嘘にはしたくない…。しっかりと聞きたい気持ちと、はっきりと伝えたい気持ち…。

「吉賀のこと、好き…って…」
「じゃあ、なんで、あの人っ?!」
「伊佐…さんは…」
かろうじて開けた口元を吉賀に見つめられて緊張が高まった。
だけどここで思いとどまったら何にもならない…。
「借金のこととか色々あって伊佐さんには頼ったところがあるけど…、身請けとかそんなんじゃなくて…」
大きく目を見開いた吉賀がかぶりを振った。
理解できない、そのものなのだろう。
どう説明したらいいのかと俊輔の中でも思いが巡る。
だから伊佐や津和野がいる前で吉賀と話をしたかった。支えてくれるものはそちらにある。
しかし、どうして吉賀に間違った情報が伝わってしまっているのか…。
「俺が全部変わってやりたかった…っ。俊輔のためならなんだってしてやろうって思ってた…っ」
「ちが…っ!!伊佐さんとは、本当に、何もないからっ」
間違った情報のやり取りが空気を震わせる。
どういっても、今の吉賀の中では想像されたことが渦巻いている。それは俊輔が何を言っても覆されることがないくらいに深く根付いている。
自分自身ではどうにもできない非力さを感じた。
上手く伝えられない思い…。全ては一度拒絶し、伊佐を頼った結果が招いていること…。
焦燥が俊輔の全身を駆け抜けていく。
これが望んだ結末なのだろうか…。

一層強く抱きこまれた体がある。背中に回った腕は俊輔の骨まで折ってしまうのではないかと思うくらいに強く巻きついた。
「俊輔…、俊輔…」
振り絞られる声は、何があってもいいと伝えていた。
伊佐との間に一線を越えた情交があったとしても、受け入れてくれる強さ。
それくらいでは揺るがないと言われるような思い。
俊輔の手も吉賀の背に回る。
「本当に、何もないんだよ…。俺、吉賀のことだけが、好きだった…」
隠さないで伝えることの意味をようやく知る。
真正面からぶつかってきてくれる人。
このまっすぐさに惚れたのは、誰でもなく、自分自身。
少し驚いたような仕草を見せた吉賀だったが、覗きこまれた視線に、自分で呟いたことの恥ずかしさから瞼が落ちた。
伏せられた瞳を追ってくる唇がある。
「俊…」
重なっていく唇に熱さを感じた。
じわりじわりと俊輔の官能を呼び覚ます伊佐の動きとは違う、激しさを纏うもの。
最初に浴びたのも、確かこの強さだ…。
こんなふうに素直に感情を表せたのは、津和野の嘘と伊佐の手まわしだと、なんとなく知った俊輔だった。

『同意の上でやることなんだよ』…。
伊佐の言葉が胸の中で木霊した。
今なら、吉賀の全てを受け入れられると思った。
…あの、気持ちいい思いを…。


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気持ちいい思いをしたのは伊佐となんだけど…(ボソ)

キリ番が~っ(汗)。マジで早いっす…。
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