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BLの丘
ただそこにいて 25
2011-09-18-Sun  CATEGORY: ただそこにいて
俊輔は暗闇の中で目が覚めた気がした。
すぐそばに自分の体温とは違う温もりがある。それが何となしに、吉賀のものだと思った。
自分を温かく包んでくれるもの。そう思えて夢見心地ながら縋りつきたく、寝返りを打とうとした次の瞬間、激しい痛みが腰の部分を襲った。
「っ…ったぁ…っ」
思わず零れた声に、近くの温もりがより俊輔を近付けようと背に手を回してくる。
その行為が俊輔の中で鮮やかな映像としてフラッシュバックし、恐怖に落とした。
無理矢理抱かれようとした時…。
吉賀に貫かれた時の痛みが…、血を流した異常な行為がすかさず甦ってきた。

「っやぁっ…っ、よし、かっ…っ、やめてっ!…もぅっやめてっ!!」
本当に叫んだのかどうかも分からない。思い出した現実に重なった夢だったのかも…。
だけど俊輔を抱えた腕は離れようとせず、痛みの中から逃げたい俊輔をより一層強く抱きしめてくる。
この後にやってくる想像を絶する激痛が分かるから必死で身を捩ろうとしたが、体は動かなかった。
耳元で囁かれる声が鼓膜に響いてくる。
「何もしないから…。痛くならないように今、魔法をかけてあげる」
しっとりとした声のあと腕の中にすっぽりと包まれた。横向きになった俊輔の体を、まるで固定してしまうかのように頑丈な手と…足だろうか。絡みつかれる。
おかげで俊輔は不用意な動きを取ることができなくなった。痛みを未然に防ぐことができたともいうべきなのだが…。
一度覚めかけた睡魔にまた飲みこまれていく。
とんとんと静かに背を叩かれる手の動きと聞こえてくる心音が重なった。
布越しでも触れてくる肌の温度が先程甦った恐怖とは対照的に酷く安心できるものへと変化していく。
ずっと憧れていたものに出会えたような安らかさがあった。この体は大丈夫なのだと思えるような…。味わった恐怖とは明らかに違う…知らなかった安堵が自然と染み込んでくる。
俊輔は間近にある温もりに無意識に寄り添い、夢とも現実とも分からない世界に堕ちていった。

隣でもそもそと動く振動で俊輔も覚醒した。
目の前にいたのは見知らぬ…、いや、一応会ったことはある人間だった。
それでもほとんど初対面と言っていい。その人間が俊輔の隣で寝ていた。それだけではなく、俊輔は何かを求めるように彼の体に寄り添っていたことを認める。掌が彼の体に巻きついていた。
拒絶することなく一晩、見ていてくれた姿なのだと嫌でも気付かされる。
彼が動いたのは、俊輔の容体を確認する触診のためだった。
最初に触れたところは額。それから頬を撫でて首筋を辿る。手首を取り脈を計って、体が離れた。
はっきりと瞼を上げた俊輔に、苦笑いのような笑みが降り注ぐ。
「ごめん、起こしちゃったね」
先日聞いた声と何ら変わらない、見た目とは異なる優しい口調。
伊佐の体が離れていくのと同じように、俊輔も咄嗟に体を捻った。
「っ…っ!!」
声を失う衝撃は今日も襲ってくれた。だけど昨日に比べればだいぶ治まったと思える。
少なくとも腫れていると聞いた後孔の場所だけが、今でも疼くところだった。腰に響く振動はもうほとんど感じない。

「また見てもいいかな?」
伊佐は布団の上から腰を撫で、一応確認を求めてきたが、拒絶させない強い意思が見えた。
津和野と同じだ。逆らったところで力でねじ伏せる強さをしたがえている。
俊輔が伊佐に向かって背を向ける横向きの体勢になったことは、同意と捉えられたはずだ。
案の定、躊躇いを持たない手は、布団と俊輔の身につけている衣類を剥いだ。
「裂傷はそれほどひどくないから塞がっているようだけど。ただまだしばらく生活面では不便なことがあるかな」
呟かれた言葉には、暗に『帰らせない』という意味が含まれていた。
寝る前に俊輔が思ったことは、安直な思考が生みだした結果にしかなっていない。
冷静になって考えれば分かる。津和野が引き離したくらいだ。2、3日で戻す気など最初からなかったのだろう。
津和野の考えを認めてしまっている伊佐もどうなんだか…。
さらにまだ痛む傷が俊輔の不安を煽った。

痛みが残る体をそのままに、頭だけが振り返って伊佐を見上げた。
俊輔の瞳は不安と脅えでいっぱいだった。
「俺、働けなくなるの…?」
口にした途端、込み上げてくるものがある。黙られていたことが現実の重みを知ったようだった。
まさかの事態…?!
体を壊したら何の意味もない。そんなことはもう何年も前から充分なくらい承知していること。

吉賀を求めて、その吉賀を拒絶して、受けた傷はどこまで深いのか…。
瞳を曇らせた俊輔に、伊佐は悲しい者をみるように小さく首を振った。
「大丈夫だ。体は治る。……」
体は…と、その後に言いかけた言葉を飲みこまれた。
その他に気遣われたこととは…。

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コメント

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No title
コメントたつみきえ | URL | 2011-09-18-Sun 13:40 [編集]
拍手コメS様
こんにちは。

>ああ俊輔って思いながら読んでるんですが、俊輔と誰のお話なのかまだつかみ損ねている…

すみませ~ん、登場人物が増えてくるばかりですねww
もうちょっと待ってください。相変わらず焦らしプレイですみません。
とりあえず俊輔が元気にならないことには相手が決まらなくて…(?!)(←いや、そんなことはないんですけど…)
なるべく早めにお分かり頂けるよう頑張ります。
コメントありがとうございました。
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