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BLの丘
とある夏の日
2011-08-31-Wed  CATEGORY: Door of fate
番外です。遠足に絡んでます。
遠足シリーズが理解できない方は意味不明だと思いますm(__)m
すみません、こんなものを書いて…。




「こーたぁ、涼しくなるとこ、どっか行こうよ~」
凛から話が入ったのは夏まっさかりの頃。
まだ夏には早いというのに、ある時、夏の炎天下の中、ドライブに連れてエアコンもあまりきかずに体調を崩したことがあった。
高速道で渋滞にはまり、逃げようがなくなったのが一番の原因だったのだけれど。
それ以来、近場の移動だけで済ませられた二人の”お出かけ”だった。
だけど、知らぬ土地に出掛けてみたい好奇心が、凛の中に湧いたらしい。
「あ~。また山のほう、行く?朝早く出れば移動もそんなに混まないだろうし」
「行く!!温泉地あるところにして~。なんだったら旅館取って泊まってもいいから」
「そんなぜいたく…」
「万が一泊まることになって、車の中でずっとエアコンかけてる方が無駄だよっ」
確かに今の季節、まだ外は熱帯夜だ。
車中泊ができる季節も限られている。

…えーと…、つまり、泊まれるくらいの移動距離と場所を望まれている…ということか…。

確かに最近は近場の日帰りコースだったから、遠足のように出掛けてもいない。
たまにはそんなこともしたいと思うのは虎太郎も同じだった。
…変なところ(?)で気が合うんだよな…。
などとは、決して口にできなかったけれど。(というか、嬉しかったけれど)
「ちょっと考えておくよ」
凛に返事をして、ここはもう、年の功というべき上司に相談することにした。
最近なんだかやたらと、”イベント”事に詳しい磯部である。

営業から戻ってきた夕方、あまり美味しくないインスタントコーヒーを差し出しながら、ふと尋ねてみれば何やら逡巡していた。
「山、ねぇ。…あ、ちょっとした祭りをやってるところがあるぞ。ホタルも見られるところでさ。温泉はあるけど観光地っていうほど有名なところでもなくリゾートホテルがあるくらいだけど。逆に混まないだろうし。知り合いがホテルを取れると思うから、聞いてみてやろうか?」
「っていうか、まだ泊まるって決めたわけじゃないし…」
「結構いいとこらしいからゆっくりしてこいよ。どうせ相手だってそれを望んでいるんだろう?」
磯部は相手の意向まで読み取っているらしい。
久し振りに出掛けるんだから、どたばたしたくないのは当然だろう。
…だから『泊まってもいい』って凛は言い出したのか…。
それに蛍が見られるってなれば、当然夜の話…。

「えーと、でも俺、その日、休みじゃない…」
交代制の休みでは偶然でも連休が取れていない問題も当然ある。
運が良いのか悪いのか、磯部が休日だった。
「俺、それ絡みの件で出掛けられなくなっちゃったんだよね。だから竹島に譲っとくよ。その変わり、次になんかあった時、交換しろよ」
何とも意味深な言葉を吐かれて虎太郎は戸惑った。
『それ絡み』ってなんだろう…。
不思議に思って尋ねてみたら、「その祭りに参加したい社員の穴埋めに、俺の相手が押し付けられたの。当然仕事。俺の休日、意味なし。ここまで言えば分かるだろう」とふてくされ気味に呟かれた。
『俺の相手』とはこれまでの過去から、中條という人だとは知れてくる。
ということは、その祭りには、中條の会社の人間が絡んでいるのか…。
せっかく合わせたはずの休日なのだろうに、棒に振られたとは気の毒なだけだ。
まぁ、そこまで虎太郎が知ったこっちゃないけれど…。
たぶん磯部も時を持て余しているより仕事でもしていたいのだろう。その隙に仕事の一つも取れたら機嫌上々になる。

虎太郎はありがたく、その申し出を受けることにした。
凛に一応確認してみれば、弾んだ声で返ってくる。
「『リゾートホテル』?…知ってる!!そこ、有名な会社が経営しているところだよ!!!」
宿泊施設なんかに興味のなかった虎太郎はちょっとびっくりしていた。
『有名』=『高級』という概念しかない。
喜んだ凛は、すでに話の撤回なんてきかない状態だった。
…所長…、俺の懐具合も考えてよ…。
泣きべそをかく虎太郎だったが、後日磯部から送られた”宿泊券”は、凛も絶句する”無料券”だった。

どんな理由があったのか…。
尋ねた質問に返ってきた答えには些か磯部の消沈した気分が混じれていた。
「良くは分からないが、仕事を押し付けてきた弁護士伝手に奪い取ったらしい。…容赦ネェよ、マコのやつ…」
最後は独り言であるぼやきだ。
磯部の相手である中條が、かなり強気な性格だとは色々な面から知ったことだけれど…。
そのあたりは『営業』という職種の強みも生かされているのか…。
完全に磯部がやりこまれていることは嫌でも知れて、それ以上の突っ込みは控えられた。
うちの営業でナンバーワンも形無しの状況である。
これでありがたく使わせていただかなかったら、更に『僕の苦労は何だったの?!』と逆切れされそうだ…。
同時に次の磯部の要求には、絶対に逆らえない効力を発している。
…中條さん、やっぱ、つえぇ…。
ぼそっと思ったことは言葉にしなかった。

凛と一緒に行った山奥は、涼しい風が流れていた。
地元民で引かれる山車の祭りもあり、屋台も出て、夜には花火大会まである。
人手は少ないかもしれないけれど素朴な感じを味わった。
夜には高原を背にしたホテルの周りでも蛍が見られるような清らかさがある。

ホテルの上層階。カーテンを開けっぱなしにした外から柔らかな明りが届いて、虎太郎と凛の姿を照らしていた。
寝心地の良いマットレスは、たぶん凛好みなのだろう。
寝転がった先、覆いかぶさってきた凛が覗きこみながら嬉しそうな笑みを浮かべた。
「こーた、またどっか行こうね」
虎太郎は出掛けられなかった間、凛に淋しい思いをさせたかな、と素直に頷いた。

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アンケートの意味がないΣ( ̄□ ̄;) (ないよね…)
だって、今書かないと夏が終わっちゃうんだもん…。(←言い訳)

中條は那智の解放を条件に安住を脅したらしいですね。安住に頼まれては千城(野崎)も手を尽くすのでしょう。
→参照夏の遠足

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