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BLの丘
ただそこにいて 5
2011-08-30-Tue  CATEGORY: ただそこにいて
津和野は水分をくれた。吉賀はおかゆを用意してくれた。二人の人間に同時に面倒を見られたことなどない俊輔は大きな戸惑いを見せる。
「あ…、だ、大丈夫…。もう、遅いし…」
誰かが部屋にいることは嬉しいことなのに落ち着かない。
質素過ぎる部屋を見られている、と思うからか…。
津和野の「体を拭いてあげよう」という申し出を丁重にお断りする。
それこそ、貧弱な体を吉賀の前で晒したくなどない。
「先生、単に俊輔に触りてーだけだろっ」
吉賀に睨まれても「今後の為にも俊くんの体は隅々まで知っておかないとね」と平然と答えている。
今後?…今後ってなんだろうと、俊輔はボーと思ったが聞くまでには至らなかった。
津和野が言うと、どうにも”からかい”が含まれているようにしか聞こえない。
真面目に答えてはいけないと思う時が多々あり、今もその時ではないかと漠然と思えた。

俊輔の体調が良くなりつつあることは二人とも理解しているようだ。
薬の効きが良いのだろう。津和野の判断は的確である。
人がいることで休めないとは傍らに立つ人たちも分かっているのか、最後に翌日飲む薬を部屋の小さなテーブルの上に置かれて去ろうとしていた。
「俊輔、鍵、明日の朝返しに来るからな」
「なんで仁多くんが持つの?何かあった時にすぐ入れる準備をしておくのは俺の方でしょう」
「管理人に開けてもらえばいいじゃん」
「夜中に起こすのは忍びないって思わないのかな」
「さっきみたいに襲われている時に入れないほうが問題だろ」
「"介護”です」
二人は気があった仲のように、言い合いながら部屋を出ていった。
その会話も励まされているようで心が元気になった。こうして誰とでも馴染んでしまう吉賀の性格を羨ましいとも思う。
同時にみんなと同じ”一人”にしか見てもらえない悲しさも浮かんだ。
突然入ってこられることは喜ばしいことではないが、吉賀が鍵を持っていてくれるというのはくすぐったくなるような嬉しさがあった。
何かあったときには守ってくれる…という感覚だろうか。

津和野に”口移し”されている現場を見られたことは、すでに俊輔の脳内から消えていた。
初めてのことだったのに、熱に浮かされて、”医療行為”の一つにすり替わっていた。
翌日も仕事を休める…。その安堵感が再び俊輔を眠りの世界へと誘っていく。

『二日は安静』と診断した津和野の言葉は正しかったのか。
翌日も俊輔の熱は下がらなかった。
多少良くなったと自分で思えたのは、最初の辛さがあり過ぎたせいだ。
出勤前に吉賀が部屋に寄ってくれた。
関節が痛い状況で、起き上がることもままならない。
掌で熱を計った吉賀が心配げに俊輔を覗きこんでくる。
「下がんねぇな…。もう一回座薬、入れとく?」
部屋には津和野からもらってある薬が数種類あった。
昨日の医務室でどの薬が早いのかは、一緒にいた吉賀も聞いている。
先日は勢いよく津和野にひん剥かれて手早い処置をされてしまったが、それを自分でできるかと問われたら些かの疑問が浮かぶ。
しかもこのぐったり感だ。
そのことを理解しているのか、吉賀の問いかけは『やってやるぜ』というものである。
いやいやいや…、いくらなんでも素人と医師の違いがあるだろう…。
何より、恥ずかしい場所を自ら曝け出すなんて、できっこない…。

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俊輔、遊ばれているな~。(いや、心配されているな~)
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