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BLの丘
ダブルデート 2
2011-06-25-Sat  CATEGORY: チョキチョキ
僅かな睡眠を貪り、夜も明けぬうちに出発をする。
羽生の運転で本庄と熊谷を迎えに行くと、大きなクーラーボックスを持って待っていた。
それをバックスペースに積み込み、後部座席に二人を乗せる。
「羽生さん、俺、いつでも運転代われますから」
本庄が気遣わしげに羽生に声をかけてきた。高速道を使っても片道5時間はかかる距離だ。春日も羽生一人にずっと運転させる気はない。
睡眠不足でも動くことに慣れた本庄の精神は想像以上に強かったりする。
「うん。その時はお願いするよ」
春日の車であるのに、春日に運転させようとしないのは頼りなさからくるものなのか、羽生の心配症の面からなのか…。
正直、春日は突然決まったこの旅行(?)に興奮して、ほとんど眠れていない。
そんな人間に運転させたくない羽生の気持ちもわかりはするけれど…。

運転する羽生に気をつかって、しばらくは起きていた熊谷だったが、車の揺れに心地良さを覚えたのか、船をこぎだした。
「タカ、無理しなくていいから。寝てていいよ」
それがいつもの出来事なのだと漠然と感じ取れる。
たぶんこんな早朝出発の時には、熊谷は車の中で睡眠不足を補っているのだろう。
同じように羽生も春日に「少しでも寝ておいで」とシートを倒すよう言ってきた。
「でも羽生さんが…」
「圭吾君がいるから大丈夫」
にっこり笑われては、自分も睡魔と闘っていたのを見透かされていることを知る。
「うん…」
無理をしていても身体は素直に反応してしまうものだ。
熊谷は本庄の膝を枕にして身体を倒していた。
大人しく春日も瞼を閉じる。静かに語り合う羽生と本庄の会話がBGMのように聞こえて、あっという間に記憶が飛んだ。

途中何度か休憩しながら着いたところは、海がすぐそばにあり競りが行われる市場の隣に建てられた、各店が碁盤の目のように並ぶ売り場だった。
平日の朝(と呼べるのか…)だというのに、すでに多くの人で賑わっている。
鮮魚だけでなく、精肉や青果、お菓子類も置いてあって、あちこちから客とのやりとりが聞こえてきた。
とりあえず羽生は行動の全てを本庄に任せるらしく、大人しく着いていく、という態度でいる。
熊谷は慣れたもので、自分の趣味に合う店を探していた。
「結構広いんだね。レストランまであるとは思わなかった」
「歩いて見て回ると珍しいものにも出会うな」
春日は物珍しさにキョロキョロとしながら羽生と話していたが、すぐに本庄が立ち止まっている。
朝獲れた魚を店先で捌いて刺身として売っている店だ。
魚や貝を幾つかチョイスしていたが、本来の売り方とは異なっているのだとは、店員と本庄とのやり取りで知ることができた。
強引に押し通したのか、結局試食のようにパックに乗せてもらったものを、その場で食べ始めたのだから驚きだ。しかもマイ箸持参…って…。
呆然とする春日達の前で「タカ、ほらあーんして」などと全く周りを気にしていない。
いや、試食などもたくさんあるここで、食べている姿は珍しくはなかったが…。
当然羽生も興味をもって同じように注文している。ご丁寧にも店主が割り箸を付けてくれたので、春日も新鮮な味を堪能することができた。
中途半端に残った切り身は店主の機転で本日限りの品として店先に並んでいた。

その後もコロッケやら串焼きやら地元名物サンドなどを一つ買っては半分こずつ食べている目の前の二人だ。
もうこんなことには慣れてしまった…と言わんばかりの熊谷の反応は、店で見る時よりもずっと自然な姿な感じがする。
知らぬ人間ばかりだから意識も削がれているのだろう。
そして同じことを羽生とやってみれば、これがまた結構面白い。
一緒に同じものを食べて感想を言い合える、そのコミュニケーションが楽しくもある。
まさに食べ歩きをし、時に買い物もして時間が過ぎていく。

「羽生さん、この先、七輪焼き場があるから何か見繕いません?俺、焼きますよ」
本庄の突然の提案に、まだ食べるのか、と半ば呆れ返っていた春日だが、そんなことができるのも本庄がいるからだろうと興味が湧く。
「そうだね。ここで食べられるっていうのはまた別格の味になるんじゃない」
旬の魚貝類の他、肉と野菜まで買い込んで炭火で好きに焼く。ほとんどバーベキューだ。
こんなことまでできる場所とは全く想像していなかった春日は半ばお腹がいっぱいになりかけていたのに、香ばしい匂いに誘われてパクパクと食べていた。
鮮度がいいからなのか、簡単な味付けしかしていないのに、どれもが美味しい。
それとも本庄の腕なのだろうか…。

「熊谷さん、いつもこういうことしているんですか?なんだか羨ましいです」
「春日、それは俺に対しての嫌味?」
「あ、いや、そういう意味じゃなくて…」
「でも圭吾、食べる物食べたら帰っちゃうからあまり面白くないんですよ」
「こういう遠くに来た時だけだろ。日帰りなんだからしょうがないじゃん」
「こんな遠くまで来て、それはもったいないね。言ってくれれば連休、作るのに」
「連休なんか作られたら圭吾はもっと遠くに行くんですよ~」
熊谷は膨れていたが、素直に反応する態度は春日から見ていても可愛いものがあった。
これ以上遠く…ってどんなところだ?と内心で呟いてみるけど…。
「近くに景勝地があるから行ってみる?食後の散歩がてらにどう?孝朗君だってたまには観光したいよね」
「本当ですか~。嬉しいです~」
目を輝かせた熊谷には思わず笑ってしまった。
二組が組み合わさると意外な展開になるのかもしれない。

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コメント

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No title
コメント甲斐 | URL | 2011-06-25-Sat 21:38 [編集]
なんだー
アテられたのは、羽生&春日組でしたのね
市場もいいですね
観光地の朝市とか道の駅とかで産地のものを買うの楽しいですよね
ただし、デートがいっつもいっつも市場巡りじゃなければ・・・
だから春日ちゃんたちには新鮮でしょうね
マイ箸持参でその場でいただき!
これもいいな!
No title
コメントきえ | URL | 2011-06-26-Sun 09:47 [編集]
拍手コメS様
またまたご訪問ありがとうございます。

>微笑ましいですね~

デートしてますね~。
4人揃えば見る視点も変わるってものでしょうか。
彼らも楽しんでおります。
コメントありがとうございました。
Re: No title
コメントきえ | URL | 2011-06-26-Sun 09:55 [編集]
甲斐様
こんにちは。

> なんだー
> アテられたのは、羽生&春日組でしたのね
> 市場もいいですね
> 観光地の朝市とか道の駅とかで産地のものを買うの楽しいですよね
> ただし、デートがいっつもいっつも市場巡りじゃなければ・・・
> だから春日ちゃんたちには新鮮でしょうね
> マイ箸持参でその場でいただき!
> これもいいな!

羽生と春日もいい刺激もらっていますね~。
美味しいものもいっぱい食べてイチャイチャもして。
春日も次はマイ箸持参…、その前に羽生が用意してくれるか?!
私、結構紙コップ使ってましたけど…。(試食するのに、手を汚さないために。高速道路のSAでもらえるのがちっちゃくて良いです)
でもデート、こんなのがいつもじゃあ、タカだって。・゚・(ノД`)・゚・。
たまにはどこかに行こうよ~ってことで行ってみたら…。
コメントありがとうございました。
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