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『淋しい夜~』に関する目次
2008-12-31-Wed  CATEGORY: 淋しい夜
『淋しい』シリーズ
千城&英人 その他絡みの記事はこちらに移しました。

《淋しい夜に泣く声》(2009.8.27~2009.11.29)
淋しさから身体を売り生活費に充てていた英人と、何もかもを手に入れる力を持つ千城の再生物語。社長×フリーター(デザイナー)
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≪淋しい夜の果て≫英人と千城の続編です。(2009.11.30~2009.12.13)
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≪雛鳥の巣立ち≫英人と千城の番外編です。
1 2 3 4 5 5-1(千城) 6 7 8 9 ♪10 11 12 13 14 ♪15 ♪16 17 18 19 20 21 22 23

≪SS:短編≫
『淋しい夜』シリーズに沿ったクリスマス企画短編集です。
wait / Difference / next day
年賀状 『淋しい夜~より』 日野編
新年の始まりは愚痴? 『淋しい夜~より』 日野編

《かけがえのない日々のはじまり》 『淋しい~』よりスピンオフ【日野&神戸】バーテンダー×リーマン 
1 2 ♪3 ♪4 ♪5 ♪6 
《かけがえのない日々の訪れ》 続【日野&神戸】 
1 2 ♪3 ♪4 ♪5 ♪6 ♪7 ♪8 ♪9 10 11 12 13 14 15 16 17 ♪18 ♪19 ♪20 ♪21 ♪22 ♪23 ♪24 ♪25 ♪26 ♪27 28 イラスト

《大人の時間》 野崎SS (『かけがえ~』のその後)
1 2 3 4 5 ♪6 ♪7 ♪8 ♪9 ♪10 11 12

《新装開店》 『日野&神戸』
1 ♪2 ♪3 ♪4 ♪5 6 7

《夢のような吐息》 野崎スピンオフ  バーテンダー×社長秘書
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 ♪19 ♪20 ♪21 22 23 24

《現実の吐息》 夢吐息の続編(宮原視点)
1 2 3 ♪4 ♪5 ♪6 ♪7 8

《みこっちゃん、嫉妬をする編》
1 2 3 4

【2010年バレンタインコラボ企画】 千城&英人と結城&薫 
1 2 3 4 5 6 7 番外SS神戸編
【被害者同盟の会(バレンタイン編)】 
1 2 3 4

【ホワイトデー企画】Studio妄想スパイラル様より薫君と結城さんが登場です。
1 2 3 4 5 6 7

【その他SS】
桜の季節 1 2 3 野崎SS《夢のような吐息》に繋がります。

《SS番外編》 美琴ちゃんの生い立ち
秘書記念日

こんな夜があってもいいよね?  妄想スパイラル様1周年企画《薫君視点》

ただのえち企画
《ラベンダーのまやかし》リクエスト企画 千城&英人 
1 ♪2 ♪3 ♪4 ♪5 ♪6 ♪7

味噌SS

《願望》(2011.10.26~2011.11.06)
1 2 3

《2012上半期企画 想いを確かめて》【完結】千城&英人(2012.7.14~7.20)
1 2 3 4 5 ♪6 ♪7 8

《2012年250000hit様リクエスト企画 晴れ時々雨、また土砂降り》日野尚治&神戸長流(2012.7.24~8.1)【完結】
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《2012年企画 野崎美琴history》(2012.9.1~9.10)【完結】
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千城&英人(2012.12.27)あたりまえのこと

宮原&美琴(2013.1.11)突然の旅行 千城&英人(2013.1.12)オーロラ見学

《2013年 リクエスト企画 その心をつなぎとめるために》【完結】 瑛佑&美琴の休日(2013.5.3~5.5)
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《2013年企画 緑の中の吐息》 瑛佑&美琴のデート編【完結】(2013.6.2~6.25)
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 ♪14 15 16 17 18 19 20 21 22 ♪23 24 おまけ 招待
《2013年冬企画 同行》 日野尚治&神戸長流デート編【完結】(2013.11.11.~11.18)
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淋しい夜に泣く声 1
2009-08-27-Thu  CATEGORY: 淋しい夜

夢は見るものだと、誰かに言われた。
それが、一夜だけを共に過ごした相手の置き土産だったのか、母子家庭で育った母親の言葉だったのは定かでない。

美術大学を卒業し、一時は企業広告を扱う会社に勤めたものの、わずか1年たらずのうちにクライアントの倒産が相次ぎ、連鎖的に自分の勤める会社も倒産という形に追い込まれて失業するはめになった。
20代半ばだというのに、アルバイトの収入で賄う日々。共に大学を卒業した仲間はトップ企業のデザイン部門で名を馳せている者もいる。若くして有名画廊の弟子に転がり込み、絵画展を開いている者もいた。自分同様に職にあぶれ、海外のとある公園で似顔絵を描いている者の噂も聞いた。
デザインという部類を理解せず、「絵描き」という言葉でくくった母親は、美術大学を志願した時点でいい顔をしていなかった。生き別れた父親がフリーのカメラマンで、世界中を駆け巡り家庭を顧みない人だったから、いつの頃からか、母親は『美』や『芸術』に対して嫌悪を示すようにすらなっていた。それでも、美大に行かせてくれたのは、まだ心のどこかで思っている父の面影を自分に見出していたからなのだろう。

今宵も暮田英人(くれた ひでと)は、行きつけのバーで声を掛けられた人物についていった。
男にしては丸顔で二重の瞳はぱっちりと開き、被さる睫毛は女子高生と見紛うばかりに長い。170センチに足るか足りないかの身長とほとんど日に焼けることのない素肌には目立った男らしい筋肉は見受けられなかった。薄茶のフニャっとした髪が更に彼を幼く見せている。
高校、大学と、美術を専攻し、体育会系の運動とは程遠い生活をしていたから当然かもしれないが、誰が見ても「華奢」という言葉を生ませる体つきを英人自身は良く思っていなかった。
それでもこうして毎夜のごとく客が取れるのは、この身体があってなのだろう。

初めて男を覚えたのは高校1年の時だった。
小学校に上がる頃には、父はいなかった。何かの枷がはずれたかのように、母は家に男を連れ込んでいた。部屋の片隅に蹲って、母とその相手が果てるのをひたすら待った。
母は、英人には、連れ込んだ相手が会うと気が逸れるからと、安アパートの2LDKのふすまで仕切られた奥の部屋から出してはくれなかったが、英人は時折相手の男の雄を眺めては興奮を覚えていた。今更ながら、母の『女』という肉体には何の興奮も抱かなかった。

幼い頃から、男と女の混じり合いがどんなものであるのかを知っていた英人は、自分の整った体を目当てに寄ってくる女共に興味を持つことはなかった。母親の肉体は綺麗だった。年齢を感じさせない肌のハリと無駄な脂肪のない引き締まった体。授業の合間などで見る女子生徒の若々しい体つきと同じように思えた。だから、母親と同じに思えて女の体に興味などなかったのだ。
むしろ、英人の体中を熱い血液が巡ったのは、体育の授業などで男同士が着替える時。自然と目に留まるのは、自分とは違って鍛えられた肉体美と、鎮まる下着の中身。
当然、そんなことを微塵にも他人に感じさせるわけにはいかない。
腰の奥にズンズンと感じる衝撃を受けたのはいつの頃だったろう。
それが決して他人には気付かれてはならないものだと感じたのも、同じころだ。

高校は男子校だった。表向き共学ではあったが、同じ敷地内に建物が二つ。男子棟と女子棟に分かれており、生活は『共学』とはとてもいいがたいものだった。
同じ敷地内といえども、文化祭や球技祭などを除けば、勝手な出入りができないように真ん中には申し訳程度の柵が取り付けてある。
『申し訳程度』というのは、その柵は簡単に越えることができるからだ。教師もその近辺での出来事は大目に見ている。
たとえば、柵を越えて5メートルくらいの範囲で行われていることは、『クラブ活動で飛び出したボールを拾いに行った』くらいにしか思われない。多少の時間が経過しても誰もとがめたりしない。
そんな公認の逢瀬場所ですら、英人には興味のないものだった。

高校に入ってしばらくすると、自分の周りに男の人だかりがいるのに気づいた。同級生で単に席が近かったから話し始め仲良くなった木村元樹(きむら もとき)がなんとなくその意味を知らせてくれる。
「英人ってば、今年入学の中で一番の綺麗どこっていうか…さぁ。女子棟にも英人ほどの別嬪さんがいなかったから、それで注目をあびているんだよね」
元樹はスプリンターだった。高校もスポーツ特待で、中学では全国大会で記録を出しているほどの実力者だった。スポーツなど特にこなしていなかった英人とは違って、鍛えられた肉体に鼻筋の通った顔立ちは女子高生からも人気が高い。英人よりも頭一つ分ほど身長も高く、飄々としてはいるものの、鋭い視線はあまり人を近づけようとしない。伸びた手足には無駄のない筋肉がついていて、一見は上級生にも見られる。
そんな人気の高い元樹に『綺麗』などと言われて喜べるはずもない。元樹に限らず、誰に言われても…だ。
「男どうしで?バカバカしい」
心にもないことが思わず口を突いた。そう言い放った後で、ふと寂しそうに顔を歪めた元樹の表情が見えたが、一瞬のことで消え去る。
「…だよ、ね…」
今にも消えてしまいそうな小さな言葉が元樹から漏れた。
そんな元樹が、男しか相手にできない性癖だと聞かされたのは数か月後のことだった。

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淋しい夜に泣く声 2
2009-08-28-Fri  CATEGORY: 淋しい夜
年は30歳前後だろうか。行きつけのゲイバーでアルコール度の軽い酒を呷っていた時、カウンターテーブルの隣の席に座ったスーツ姿の男が、
「もう一杯飲む?」
と、声を掛けてきた。
この店にはよく来るが、見たことのない顔だった。
別段、自分から声をかけなくても、寄ってくる男など無数にいるだろうと思えるくらいに整った顔立ちをしている。たぶん長いのだろうと思われる頭髪はきっちりと整髪料で撫でつけられ、仕事帰りを思わせる雰囲気だったが、彼が醸し出すものは一般の平社員とは大きく違っていた。
若いと思われながらも人を惹きつける切れ長の瞳は狙った獲物を逃がさない力強さをたたえていた。頭のてっぺんから指先まで、放つオーラはこれまでに感じたことがないくらいに締まっている。
ぱっと見のスーツでさえ、その辺の同世代とは格が違うのをうかがわせる質の良さ。
過去に寝た男の中にこんな奴もいたっけ…と英人は内心で隣の男の外見を品定めしていた。

かくいう自分は、まだ大学生に思われても仕方のないような、胸元の大きく開いたカットソーに軽く羽織った七分丈のジャケット。それになんてことないジーンズを合わせただけの軽装だった。
さりげなくカウンターテーブルの上に置かれたエリートサラリーマンの指先に触れるか触れないかの位置に自らの手を置きながら、
「おかわり、もらってもいいの?」
と小首をかしげて見せた。
幼さを残すような英人の仕草に、
「ああ、もちろん」
とサラリーマンは口端を上げて柔らかな笑みを浮かべた。
甘える術はすでに身につけている。…つもりだった。
触れたか触れないかの指先にあったサラリーマンの手はスッと反らされ、さりげなくも自らの頭を支えるように頬杖をついた。カウンターに肘をつきながらも正面から英人を見据える瞳に、どこか緊張が走った。
ただ身体を求め誘われるだけの人に、こんなに緊張を走らせたことなどない。いつもおざなりな、その夜を満たすだけの関係を続けてきた英人にとって、自分自身の心の奥を抉られるような視線を浴びたことなどなかった。

今まで運が良かったと言うべきか。一夜限りの相手で失敗したことはない。危険だと思われる相手がいることは噂話で聞いてはいたが、実際に巡り合ったことがなかったから、危機感は薄かった。
手を伸ばせば握り返してくれる。望んでいなくても腰を抱かれ、甘い言葉を囁かれてその気にさせてくれる。一夜限りの相手は英人に不満を持たせたこともない。

あっという間に反らされた指先は、男を相手にする気がないってこいとなのかな…。
だったらこんな店に来なくったっていいのに…。英人の中で小さな葛藤が渦巻く。見た目は決して悪くはない。求められれば無償でも付いていけそうな美男なのに。

自分の表面だけを見ているのではない視線。取り繕い、奥底に押し込まれた心をガードするかのように固めた外壁を射抜かれるような焼けつく眼光。英人の心の葛藤など、取るに足らないものだというように刺し向かれる瞳は、これまでの男に対する経験を踏みにじるように嘲笑っているように見えた。
「同じものでいいの?俺は何をもらおうかな…。お勧めある?」
嘲笑するかのように見えた顔色も一瞬にして消え、気づかぬ間にカウンター越しのバーテンダーに英人の追加を頼みながら自らへのお勧めも強請っている。
「お酒は強くない方が?」
バーテンダーは英人を誘いにかかっている男の存在を認めたのか、アルコール度数の少ないカクテルを作って見せた。英人がこの店で客を取っているのは周知の事実だ。

店で見慣れた客ならば、バーテンダーもある程度の情報を英人に流してくれる。一夜の相手に失敗がなかったのはそういった事情もあるかもしれない。
だが、この男のことは知らないようだった。
お互いが心を許し合えば、店員が何を言って止める権利もなく、誰もが認めるような色男と、落とした人数は数知れずの英人を見てしまえば、この後は決まったようなもので、二人の間に割り込んでくる者もいない。
もちろん、ここで酒を呷っただけで終わりにすることだって可能だ。強引に英人を外に連れ出すことなど誰にもできない。

しばらく世間話で時が過ぎた。最近の経済はどうとか、地球の温暖化とか、当たり障りのない話が続いて、さすがの英人も、この男に自分と同じような趣味はないのではないかと思いかけた時。
男の顔がそっと英人の耳元に寄った。

「君と話がしたいんだ」

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淋しい夜に泣く声 3
2009-09-01-Tue  CATEGORY: 淋しい夜
R…15くらい入れておきましょうか…???

都内でも有名なホテルの最上階。店の外に連れ出され、タクシーに乗せられて着いた先は、ただの男を囲うにしては出来過ぎる部屋だった。
ゆったりとした配置でリビングにはベッドとも見間違うようなソファが置かれ、その奥には寝室へと繋がる扉がある。
キングサイズを更に上回るのではないかと思うようなベッドが寝室の中央に配置されていて、連れ込まれた英人は初めて訪れる豪華絢爛な部屋に入り口で茫然と立ち尽くした。
それに気付いた男が、「どうした?」と不思議そうに英人を見下ろした。
並んで立てば明らかに自分よりも10センチ以上高い身長で、腰の位置を確認すればいかに足が長いかと実感させられる。

そっと腰に手を当てられ、寝室へと誘導されたが、男の手が触れたのはそこまでだった。

大概なら相手の男から執拗なほど求められる。少なくとも一瞬たりとて英人の肌から手を離すことなどなかった。
いきなり放置されたようで、英人のほうが戸惑っていた。
男はベッドの端に腰かけると、ネクタイを抜き、上着を脱いで無造作にベッドの上へと投げた。
「そんなところに突っ立って何をしている? 話をしたいと言っただろう? こっちに来て座らないか?」
そう言って男は英人をベッドの隣に座るように促した。

英人は大人しく男の隣に腰を下ろした。
一晩抱かれるだけの金額はすでに決まっていた。滞りなく済ませれば仲介業者のない英人に丸ごと現金が入ってくる。
だが、隣に座った途端に見せられた金額は帯の付いた札束で、男は何の躊躇いもなくそれを英人の頬に叩いた。

「一回5万って言ってたっけ?二百万くらいならキャッシュで払ってやるぜ」
ゾクリとしたものが背筋を伝う。
つまりは一晩では返さないという意図と、ただ抱くだけではないオプションが含まれているような気がして英人は大きく身ぶるいをした。
「…い…やっ…」

抵抗する身体を無視して、ベッド上に投げ出されたはずのネクタイが英人の両手首を捕らえた。手首を結えられベッドヘッドに括りつけられ上半身の動きを遮られる。
否応なくはぎ取られた下半身が無防備な状態でさらけ出された。
英人を隠すものは一つもない…。

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長らく放置しました…(汗
ゆっくりと進んでいきます。
気まぐれ更新です。ご容赦くださいな。
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淋しい夜に泣く声 4
2009-09-03-Thu  CATEGORY: 淋しい夜
痛いことをされたことなど一度だってなかった。『安全』に過ごしてきた夜の密会が良くできた話と言われても仕方ないのに、巡り合わされたこの状況に鳥肌が立つ。
「こんなことをしていて危険だと思ったことはないのか?」
嫌がる両足を大きく開かされると同時に、男は英人の全身を確認するように眺めてから視線を瞳と合わせた。
先程見せられた危険な香りが男から消えていた。
諭すような大人の雰囲気を漂わせ、これまで英人が取ってきた行動を咎めるかのように男の口が動いた。
「あ…、な…に…?…」
突然のことに英人の方が面食らったが、身体を一切動かすことができないことに変わりはなく、恐怖は消えない。

「おまえのことは調べが付いている。悪いがしばらくおまえを他の人間に会わせる気はないんでね。当面の資金として2、3百万渡してやるからこの部屋から出るな」

何の事だか分からずに英人の身体が恐怖に戦慄いた。

男は英人の性器にすら触れようとしなかった。
両手首を括りつけ逃げ出せないようにしただけで、ベッドから降りて携帯電話を弄っている。
会話の内容はなんとなく聞こえていたが、それは相手にこの部屋へと来るように促しているものだった。

繋がれたまま、人目に晒されるのか…?
恐怖や不安が一気に全身を襲い、英人は苦痛の声を上げた。
「や、だっ!!やめっ…っ」
「大人しくしていろ。すぐに気持ち良くさせてやるから。それが済んだら俺の言うことを聞け」

擦りつけられる手首が痛いのも気にならずに、英人はなんとか逃げ出せないかと全身を捩った。
最初に感じたように、この男は自分を抱く気はないようだった。一晩5万円という金額を話しはしたが、この男はそれ以上の金額で自分を縛り逃げ出せないようにしている。
何が目的なのか全く分からず、恐怖の最中でこれまでの人生が狂うのを感じた。この男には逆らえない、逃げ出せない…。
何もかもを威圧するような鋭い眼光に射すくめられる。
「悪いようにはしない。おまえにとってもいい話のはずだ。今から契約書を持って秘書が来るから黙ってサインをしろ。こんな因果な商売をしているよりもまともな人生が送れる」

身体を売って商売をしているつもりはなかったが、他人から見ればそう取られてもおかしくない。
だが、自分の身元を『調べた』という男に心を許す気などこれっぽっちもなくて、むしろ恐怖が沸くだけだった。
なんの、どんな内容にサインをしろというのだろうか…。
泣くつもりもなかったが、不覚にも涙がこぼれれば、男はクスリと笑いながら頬に手を伸ばした。

「まだまだガキだな」
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