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ご訪問いただきありがとうございます。大人の女性向け、オリジナルのBL小説を書いています。興味のない方、18歳未満の方はご遠慮ください。
BLの丘
晴れ時々雨、また土砂降り 6
2012-07-28-Sat  CATEGORY: 晴れ時々
甘ったれた声を上げた大和を尚治は押し返した。
今まで気付くことのなかった”変化”というものをはっきりと感じる。
「大和、マジでそういうの、勘弁…」
これ以上付き合いきれないと区切りをつける尚治だったが、大和のほうは諦めきれないといった表情を明らかに浮かべてきた。
「でも尚治、『男に興味ない』って言ったって、今付き合っている人、男でしょ?」
確信をつかれた質問にも毅然と答えられる覚悟はできている。
表立って紹介したわけではないが、店の中にいた雰囲気などを見れば、察するのは容易いものだろう。
「男は男でも、相手が長流だからってだけ。他はまったく、論外」
「どうして?なんでその人と、ってことになったの?きっかけがあったわけでしょ?」
食い下がる大和に半ば呆れの溜め息を零した。
「そりゃ、いろいろあったさ。俺だって何が何だかって思って悩みもしたし…。でも違うんだよ。ホントあの人だけなんだ。男とか女とかの括りじゃない。俺も今まで散々遊んできたけれど、誰にも抱いたことのない感情があるんだ」
絶対に長流以外には靡かない強い思いを大和は理解してくれるだろうか。
何人もの人間の間を渡ってきた大和には、突然現れた一人に絞った感覚が掴めないのだろうか。
「けど…」
「『男がダメ』っていうのは本当だから。それを大和が分かってて、今だって単に話をするだけだと思って来たけれど。そういう対象に見られているのなら、今後の付き合いはできない。長流のことを思っても…、うちの店にももう来ないでほしい」
きっぱりと告げた内容にはさすがの大和も黙るしかなかったようだ。
将来、長流と別れることがあったとしても、尚治の目は男には向かないだろう。
「俺、そっちのほうは疎かったから、大和には悪いことしたな…」
尚治が最後通告をした時、背後で長流と千城が立ち上がったのが分かった。

こちらで話をしていたことはいくらなんでも聞こえていないだろう。
だがあまりにもタイミングの良さに、問題解決と理解して帰るのかと思った。
しかし、本物の恋人同士のように寄り添って歩く姿は人目を惹く。特に千城の眉目秀麗な出で立ちとスマートな振る舞いは、誰しも見惚れるといったところではないか。
そして行き先が出入り口とは反対の、奥へと続く通路のほうだった。
それだけで大和はピンときたようだった。
「あの二人…、ヤりにいったのかもね」
一瞬唇を噛んだ大和が、その光景を見てあっという間に喜々とした声を上げた。
「は?」
「だってあの先、トイレだもん。二人して一緒に行くってさぁ、ソレ目的でしょ」
『トイレ』という場所で何が行われるかくらいは尚治も多少の知識はあったけれど。
あからさまな大和の発言は気になるものだった。
尚治が想像していたものに、濃密になるまでの時間は含まれていない。だいたい、他の客だって利用する場所で…。
黙ってしまった尚治に、大和が更に畳みかけてくる。
「ここの店のトイレって、ちょっと特殊な形に造られているの。ま、合意した者同士、その場の勢いで…、っ、ちょっ、尚治?!」
大和が言い終わる前に、尚治は席を立って、ふたりの後を追った。

長流と千城の関係がどんなものなのか、嫌というほど承知している。
昔のことを聞いた時にも、長流はあっさりと否定してくれたけれど、思えば『ハイ、そうです』と答える人間がどこにいるだろうか。
今の、大和との馴れ合いは絶対に見られていたはずだ。
そのことを機にあの二人に物騒な感情が湧いてもおかしくないのではないだろうか…。
“割り切る”という意味では、尚治なんかよりずっと大人でいる。

『トイレ』まで二つの扉を越えなければならなかった。薄暗い廊下を過ぎ、その廊下ですら密着するように寄り添っているカップルが抱擁やくちづけを交わしていた。
自分の店でこんなことをされたら、速攻で出禁だ、と胸糞悪いものがこみ上がってくる。
いざトイレに入ると確かに妙な造りだった。縦に長く、手前に手洗いと小便器が三つ並んでいるだけだ。そして誰もいない。
個室がないのか?と訝った時、最奥にあったグレーの壁が横に開いた。
その壁こそが、奥の個室に繋がる自動ドアだったのだ。
中から二人連れが出てきて、尚治と視線が合うと少し気まずそうに、だけど開き直った様子で通り過ぎようとした。
開いた壁が閉まる前、隙間から見えた先には、確かに扉らしいものが幾つか並んでいるのが確認できた。
「クソッ」
思わず悪態が漏れる。
閉まらないうちに、と慌てて飛び込んだ向こう側。天井までしっかり囲まれた場所は、ドアの横幅が広く、両側に二つずつ、計四室があり、完全に使用目的が違っている。
大人の男が二人で入っても充分な余裕があるはずだ。
どこかからくぐもった声が聞こえたが、大声を上げないようにとする配慮なのか…。
こんな店が世の中にあったのか、とそちらにも感心したのは一瞬のこと。
今更背に腹は代えられぬ状態で、尚治は「長流っ?!」と大声を出した。
束の間、全ての音が消えた。
「長流っ、いるんだろっ。千城さんもっ!!」
「ウルセーっ。痴話喧嘩なら他でやれっ」
逆に怒鳴ってきたのは、まさに真っ最中の客らしい。同時に腰を打ちつける肌の音と「あんっ」といううめき声が響いた。
悪いが、人の行為を見聞きして喜べる性格ではない。

「長流っ」
構わずにもう一度叫ぶと、奥の一室から、長流と千城が姿を現し、長流は咄嗟に人差し指を自分の唇に当てて「シー」という態度を見せる。
後から続いた千城も黙って手の甲を見せて振り、「出ろ」と行動を示してくる。
長流の着ているシャツの胸元が肌蹴ていることに気付いて、尚治は声を失った。

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晴れ時々雨、また土砂降り 7
2012-07-29-Sun  CATEGORY: 晴れ時々
納得がいかなくても、この場でこれ以上声を荒げることもできなく、三人、無言のままトイレを出て店内に戻れば、早速というのか、大和がどこかの客に絡まれているのが見えた。
しかも相手は二人がかりだ。
たぶん、ぎこちない一部始終を見られていたのだろう。
恋人のフリはしても、実際はそうではなかったと悟られれば、次の標的にされる。
いつの世でもそんな光景は見られた。
冷静に判断した千城が、「日野、どうする?」と尚治を促した。
心配はしている。
尚治に見限られた今、どんな行動を起こすのか気掛かりだった。
自棄になった時ほど、人は乱れてまともな判断が下せなくなっていく。
ましてや、その一端が自分にあるのだと思えば…。
長流に視線を流すと、クスっと笑われ、また肩を竦められて、「彼を連れて一度ここを出よう」と顎をしゃくられた。
店の中では新たな火種を生みかねないから…だろうか。
また奥の意味も、長流と尚治だから探れたのかもしれない。
…大和とのことを認めてくれていること…。

「この茶番劇のことはちゃんと説明するから」
長流の言葉に背中を押される。
『茶番劇』…。何のことはなく、今の長流と千城のことなのだろう。
心配する価値もなかったような戯言だと教えられる。
物事(大和)の真髄を捉えられなかった尚治が招いた事態に、陰ながら協力していた…ということなのだろうか。

先に二人は会計を済ませて出ていった。
尚治は慌てたように大和に近付き、絡む男を避けた。
驚いていたのは大和のほうだ。
トイレに消えた二人を追い掛けて、でも戻ってきてくれた…。
表情に悦びが浮かぶのを冷酷にも断ち切っていた。
耳元に唇を寄せて囁く。
「誤解するな。またおまえを危険に晒したくないからだよ。ちゃんとした自分の意思を持て」
「だったらっ…!」
「でも俺はダメなんだ。大和だけを見てくれる人は必ずいる。投げやりになって過去のようなことは起きてほしくない。夢や希望が持てたら、必ず人は立ち上がれる。堕ちていくだけの人生がどれだけ苦痛で無意味なものなのか、大和が一番知っているだろ?」
言い聞かせたとしても、その場限りで手を差し伸べてしまったのは確かに尚治だった。
そこに縋られたのも現実の話だった。
迂闊なことをしたのかもしれない。
弱い心を持っている人だと分かるから、…だからこそ、ちゃんと守ってくれる人に巡り合ってほしい。
このように、『一夜』を求めた短絡的なものではなく、本音を預けられる人。どれだけの期間が必要かは分からないが、即物的な存在にならずに、付き合っていける人を探してほしい。
「尚治…」
今にも泣きそうな顔が浮かんだ。
改めて相手の気持ちを知れば、過去に尚治が関わったような体だけを求めた感情ではないのが一目瞭然だった。
だけどこれ以上は甘やかせなかった。

「今の大和をここに残してはいけない。…これが最後だよ。一度店を出よう。その後のことは大和の意思に任せる。またこの店に戻るのでも良し。新しい人生を切り開いていくのでもいい。でも一度ここを出てくれ。…そして、俺とのこと、終わりにしよう…」
自分で言いながら、何て残酷な言葉を吐いているのだろうと冷徹な自分に驚いていた。
昔だったら絶対に言えなかった台詞だ。
もっとも男は最初から問題外だったし、女はただの性欲処理としてしか扱っていなかった。
相手の気持ちを知ろうなんていう考えが欠落していたのかもしれない。
どこまでも割り切った関係を続けてきたからこそ、出会った長流に対しての思いは半端ではないのかもしれない。

理解してくれたのだろうか。
涙目を見せながら大和は立ちあがった。
店の外に出ると、多少の距離をとって長流と千城が佇んでいた。
そこには店内で見せたような色香も親密さもない。
あまりにも雰囲気を変えたふたりに、大和の目が見開かれた。
「あなたたちは…」
一時は心配した仲だったのかもしれないけれど…。
長流が肩を竦める。
「ごめんね。ショウが心配で追ってきちゃった…っていうところかな。ショウはもともとノンケだから、君みたいな想いの、そういう事情、ものすごく疎いんだよ。うちのお店で見た時も、呼び止めたのに全く意に介していないし。鈍感屋さんだからさ、それなりに気になるじゃない」
「素直に嫉妬したと言っておくものだろう」
「千城みたいにデレデレにはなれないんですっ」
「変なプライド、持ちやがって。おかげでいいとばっちりだ」
サバサバと話す関係は、決して睦まじい仲にはならないことを表している。
案の定…とでもいうべきか…。
尚治も、正直胸を撫で下ろしているところがあった。やはりこの二人は、このままなのだ…。
それにしても、『鈍感』…って。
今まで、飲み込みがいいだとか気がまわるだとか、褒めてくれていたのは誰だったっけ…。
もっとも男の感情に関して、ましてや自分に向けられるものなど分野外なのだから、反論する言葉も出ないが…。

千城が口を開いた。
「人生、晴れている日ばかりではない。涙という雨に浸り、自分を潤し読み説いて、新たな芽を作って、育てればいい。その間の努力は晴れた時に必ず実る」
威圧的な態度でありながら優しさが見えるのは、自分の恋人が同じ人生をたどっているからだろうか。
英人のことを決して口にはせず、しっかりとした言葉で物事を告げていけるのは、経験値の違いなのか…。
それからまた余計なことに、「まぁ、今回のこいつらの場合、突然襲った土砂降りの騒動だったけれどな」と皮肉が漏れた。
考える間すら取らせず、意思の疎通も取れず…と言ったところか。
長流はプライドが邪魔し、尚治は気の回し方が足りなかった。
長流がはっきりとあの場で告げてくれていたなら、こんなふうに大和と二人の時間を持つこともなかったはずだ。
「それ言ったら、千城なんか、いつも台風かハリケーンじゃないっ」
神戸が自棄になって叫ぶ。
これまでこうむった被害はいかなるものなのか…。
言い合う二人に苦笑が漏れたが…。
端で聞いていた大和が、『良い関係』というものに気付いて黙っていた。
この場にいる誰もが、パートナーとする人間が男性だと理解できたのだろう。
そして充実している人生を送っていること。
『幸せ』の意味を感じてくれたらいい。

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晴れ時々雨、また土砂降り 8
2012-07-30-Mon  CATEGORY: 晴れ時々
大和とはその場で別れた。
「尚治、ずっと、いろいろとありがとうね…」
最後に呟かれた言葉は、淋しさはあっても、考え直した結果のことだと思う。
尚治が言うことも、千城が語ったことも、充分理解できる思考力は持っているはずだと期待を寄せた。
それはまた、千城が「死体で見つかった時の日野の気持ちを考えるんだな」なんて余計な一言を付け足してくれたおかげかもしれないけれど…。
恋愛感情はなくても、気にかけてくれる人がいるのだと、千城は言葉の中に隠していた。

長流を真ん中に三人で並んで歩くというのも奇妙な光景だな…と思ってしまった。
「あの子さぁ。たぶんショウの気を引きたくて、色々な男に付いていったんじゃない?あっ、ショウが働いていたお店でね。紹介…とまではいかなくても、『この人なら平気』みたいに頷かれたら、そこはショウを安心させるために、相手は誰でも良かったんだと思うよ」
「そんなこと言われたって、あの店の中じゃノンケで通ってたんだよ。どんな色目使われたって分かるわけないじゃん。つか、そんな人間いなかったし」
「そこがさぁ。単にショウが気付いていなかっただけじゃない」
膨れる尚治に、呆れる長流に…。小さな言い争いをしていれば千城がさり気なく口を挟んでくる。
「客への気遣いと恋愛感情は別物だからな。無言で見られていれば、注文するタイミングが取れないでいるのか、と思うのが普通だし。ノンケと豪語する人間に対してアプローチする人などいないと思っていたのが当時の日野だろう?」
「そうそう、千城さん、やっぱり良く分かってるよ」
「千城っ、もう帰っていいよっ」
「自分から泣きついてきて、その言い草はなんだ」
手放しで千城を褒める尚治を見ては、不機嫌な感情丸出しで長流が腕を叩いていた。
溜め息と見下す視線を浴びせながら千城が逆に長流の手を、甲で払いのけた。
でもそれも二人の和やかなスキンシップの一つでしかないことを尚治は知っている。
付き合いが長い二人は、文句も嫌味も皮肉も、何でも口に乗せる。
素直に褒めることなど滅多になく、だけど心の底ではお互いを認め合い、しっかりと意思の疎通ができているのだから…。
これもある意味、嫉妬の対象だ、と長流は気付いているのだろうか…などと尚治は苦笑を浮かべた。
そうそう、堂々と恋人ゴッコまでやってくれる人たち。

そこでふと思い出した尚治は、本当にこのまま帰りかねない千城を慌てて呼び止める。
「ちょーっと待ってっ。まだ真相、聞いてないし」
「「真相?」」
二人してハモって問い返されては、誤魔化されないっ、と尚治は前のめりになりながら二人の顔を覗き込んだ。
「トイレで、だよっ。なんで長流、シャツ脱いでたの?」
個室から出てきた時の長流の衣類は少々(?)乱れていた。
束の間ふたりとも黙ってしまい、それから千城がフッと小馬鹿にしたように笑みを浮かべる。
長流は「あー…」と明後日の方向に視線を流した。
「…というかね、僕、脱いでないから」
「脱ぎかけた…が正解だろう」
「何でっ?!」
この様子では明らかに戸惑っているのは長流のほうだった。
絶対に誤魔化そうとするだろう長流を感じては、尚治の視線は千城に向けられる。
こういう時、どこまでも長流をからかうのが千城の性格で、止めようとする長流の意思は無視されることが多い。
今はその性格に拍手を送ってやりたい気分だった。
「日野からの嫉妬を買いたかったんだよ。おまえもどこか飄々と流すところがあるからな。それを感じることで神戸は満足を得たかったんだ」
「はぁ?」
「ちしろ~っっ!!」
「ひとりだけモンモンとさせられて、同じ気分を味あわせてやろうっていうのが神戸の単純な考え。言っておくが俺は指一本触れてないからな。気色悪い」
…それを恋人の前で堂々と言うか…?
…は、さておき。
大人の余裕を振りかざしていた長流にも、言葉以上の焦りに見舞われることがあるのかと、今回の件で知ってしまった。
“気になって追いかけてきた”程度ではなく、こちらにも一泡吹かせてやろうという考え方がまた…。
もちろん嬉しい出来事ではあったが、与えられたショックはどうしたって尚治の方が上だろう…と振り返ってしまう。
長流は状況を理解していたが、尚治は大和の気持ちすら気付いていなかったのだから…。

「千城さん、ごめん…。ホント、迷惑かけたね…」
長流は千城と英人のことを『台風』と言ったが、こちらも変わらないように思えてきた。
順調に進んでいる付き合いも、時々土砂降りの雨に襲われる。そしてまた晴れていく。
「おまえは理解力が逞しいからな。神戸のこと、良く見ておいてやれ」
最後は友人としての願いであり、依頼されたことなのだと取れた。
長流の性格をたぶん、尚治以上に知るからこそ…。
自惚れだが、長流の相手が尚治でなかったなら、本当の意味で付き合うことを許したのだろうか…。
友人を大事に思っているのは、言葉にしない分、伝わってくるものがある。

明らかに年下の人間に”預けられる”ような発言をされて、長流の不機嫌さは増していった。
「もうっ、千城ってばっ!!」
長流の叫びを、口角を上げて受け止め、千城はそこから車を拾うと二人の前から姿を消した。
改めてふたりだけになってしまうと、少しだけ気まずさが漂う。
お互いの瞳を見つめながら、無言の時が流れ…。
ふと俯いた長流が、手を伸ばしてきて、尚治の手を握った。
「今度っから、ちゃんと言うよ…」
それが自分たちの店で長流が感情を隠してしまったことに行きつくものだとは悟ることができた。
照れ隠しに手を握る…なんていう行動に出たことも、なんだか可愛い仕草だな…と内心で苦笑したのは内緒の話。
「うん。そうして…。俺、分かんないことばっかりだから…」
尚治も答えながらそっと肩を抱えた。
そして耳元で「早く帰ろう」と囁いた。

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キリ良く8話(←どこが?!)で終わらせようかと思ったのですが…。
きっと納得されないでしょうから、あと2話くらい続くかな…。
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晴れ時々雨、また土砂降り 9
2012-07-31-Tue  CATEGORY: 晴れ時々
R18 性描写があります。閲覧にはご注意ください。


現在、ふたりの住まいは、長流が所有している高層マンションである。
4LDKの間取りであったが、LDKと寝室とする一室はともかく…、残りの三部屋は過去、全て仕事関連のものが占拠していた。
長流の希望で同居を求められていた尚治も、”落ち着かない”と、泊まりに来ることはあっても引っ越しにまでは至らなかったが、諸事情があって引っ越すこととなった。
自宅だけでなく、きちんとした事務所も画廊も持っているのだから、その仕事量とはどれほどのものなのか、尚治は想像したくなかった。
長流いわく”ついつい”自宅に持ち帰ってしまった仕事道具をそれぞれの事務所に振り分ければ、家の中がスッキリする、とのことで一部屋はあっという間に空き、尚治が使えるようになったが、もともとワンルームという狭い空間で暮らしていた尚治にとって、寝室が一緒になってLDKまで整えられていれば、自室など必要ないと言っても聞かなかった。
それでなくても、キッチンとダイニングは尚治の好きになっているというのに…(これは引っ越す前から)。

帰宅早々、軽くシャワーで体を流し、慌てたようにベッドのシーツの上へと転がり込む。
嫉妬心がそれぞれにあったせいだろうか。
いつもより急いている気がする。
尚治は長流を組み敷き、体を重ねて…、頭の両脇に肘をついて、顔を覗き込んだまま動かなかった。
求められることを待っていた長流にしては、どうしたのかと見上げてしまう。
「ショウ?」
僅かでも不安を乗せた長流の表情は、これまでの自信に満ちていたものとは少々違うな、と幼さを感じて尚治はフッと笑ってしまった。
ますます眉間に皺を寄せた長流を宥めるように、まず一つ目の触れあわせるだけのくちづけを落とした。
「ごめん…、…なんか、いつもと違うし…。でも可愛いなって思って…」
「か…っ?!可愛いって…っ?!」
あくまでも年上の人間に対しての褒め言葉ではないだろうけれど。
不満を持つ長流の気持ちも分かるから、もう一度キスをして、どこか誤魔化すように頬や瞼に唇を移動し、また唇に戻って軽く舌を差し込んで一舐めして去ってくる。

今日の行動を振り返れば、半ば無関心のように見送ってくれることが多かった過去の余裕が見受けられなかった。
尚治の性格や性癖に信頼を置いてくれている部分があったのだろうが…。
改めて伝えられた心情と、他人を巻き込んでまで嫉妬心を煽りたかった幼心に似たものが、思わず尚治の心を綻ばせてしまうのだ。
「ごめん…」
尚治はまた、謝る気が本気であるのかというような笑みを零す。
心配をかけたのは悪かったと思うけれど…。
「長流の素直な気持ちが嬉しかったから。それに、今日の行動はちょっと意外でさ。千城さんには悪かったと思うけれど、そういうコト起こしてくれたことが、可愛いなって…」
「もうっ…ここで千城の名前出すってどうなのっ?」
怒りの矛先はそちらに向かうのか…。
これ以上不貞腐れられるのも得策ではないと、咄嗟に判断して、ハイハイと腰を揺すって下半身を擦りつけた。

何をしなくても内側から湧きあがる興奮はある。
勃ちあがったもの同士がこすれあい、刺激となる部分を突いた。
「あ…っ」
長流から小さな声が上がってヒクッと体が震えた。
上手く手の内に転がされたような悔しさが長流の中にはあるのだろうか。
それでも今現在、体の中を燻る熱に逆らえない、縋ってくるような態度は、尚治に全てを委ねてくれる姿勢を浮かばせていた。

「長流…」
耳朶を甘噛みして囁いて…、舌を差し込んで官能的な音を立て…。
指は顎のラインを確かめて喉仏から下へと降りていく。
胸の中心…これが女性なら『谷間』とも呼べるのだろうが、その位置で尚治の掌はどちらに向かおうかと焦らすように撫でまくった。
片方の乳首をつまみ上げ、その隙に、長流の両膝を開いて体を潜り込ませる。
上半身を起こした尚治は、もう片方の実を徐に口に含んだ。
「はっ、あっ…っ」
切なげな声が上がるのは、束の間でも焦らしてしまったからなのだろうか。
やはりこの声も、普段とは違う、無防備さが見え隠れしているような気がした。
その後の流れを承知している長流は、無理に足を閉じようなどという無粋な行為には出ないけれど…。
つまりのところ、長流自身は焦らすつもりはないし、目的が分かっている以上、先に早く…と願うものがあるのだろう。
だけど、千城と神戸の、説明もない勝手なる行動に、少しの苛立ちが残っていたのが今の尚治だったのかもしれない。
ねっとりと胸の蕾を、真っ赤になるほど捏ねくりまわして、抓ってはしゃぶって…、執拗なほど繰り返し、長流の「…もっ、やぁ…っ」という声を何度聞いたことか…。
自分の股間に手を伸ばそうとする長流の手首をシーツの上に抑え込んで、尚治のモノを押し付けると、長流の腰が浮かびあがった。
擦りつけたくて仕方がないのは、この場でも余裕の無さのように捉えられる。
それに気を良くしたのは尚治の方だったから、逆に精神的な余裕が持てた。
「ショウ…っ!」
「我慢できないの?」
先走りを零しているのはお互いさまなのに、今の状況を把握しては、長流の悔しさのようなものが瞳に映り込んでくる。
これを機に、尚治は交換条件を思いついていた。
もっとも、今後、たぶん、二度とあり得ないだろう、と思われることだったのだけれど。
挿入されれば、ある程度堪え性のある長流だが、それまでは弱い。
逆に簡単に挿れては、収縮に耐えきれず、尚治のほうが持って行かれる確率が高い。

「長流…、もう、当てつけるようなこと、しないでよ…」
相手は千城だけに限らないが…。彼こそがもうないだろうが。
次の第三者が現れてもおかしくなさそうな現実を教えられたような気がした。
人付き合いの深さは長流のほうが多いだろう。
考え方も…。
その時、こんなふうに翻弄されたくない。今日の動揺は絶対に尚治の方が大きかっただろうと思うからこそ、約束をつけたかった。
「ん…っ、…っ、ショウ…」
そんなこと…と悔しさが消えた瞳から、縋るような眼差しを向けられては、それ以上自分も心が崩れてしまうのは、甘さなのだろうか…。
ふわっと表情が崩れる。
覗きこんだ顔に、「了解」と唇を塞いで、そのまま尚治は唇を下半身に移動させた。

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あと一話で終わるかなぁ…。いえ、終わりにします(`・ω・´)ノ
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晴れ時々雨、また土砂降り 10(最終話)
2012-08-01-Wed  CATEGORY: 晴れ時々
R18 性描写があります。閲覧にはご注意ください。


後孔を舐め上げるとヒクヒクと収縮する。
手のひらに握り締めた陰茎を緩く扱きながら、襞を伸ばすように舐め上げて、舌先を潜り込ませる。
濡らしてから、もう片方の指を差し込む。
少し引き攣る感じがするのは、唾液だけでは足りない証拠だろう。
零れ出てくる滴を掬い取り、今度はそちらの指を嵌めた。
「あっ…っ、んっん…」
忙しかったシャワーの中で、前準備なんてできていない。
キツさを味わいながら、尚治はゆっくりと指の付け根まで入れこんだ。
熱い…うねる内肉が指を締め付けてくる。
…これだから…、と尚治の内心に苦笑が生まれる。
長流が熟達しているのか、自分が未熟なのかは分からないが、挿入してしまえば、「はやく…」と望んでしまうのは尚治のほうだ。
またそれは、長流の負担を考えずに次へと進むことにもなりかねないのだけれど…。
先に長流だけを充分なほど昂らせたほうがいいとは、今までの付き合いの中で学んだことかもしれない。
ただ、今日だけは少々勝手が違っていたが…。

指を増やして中を探る。どこが感じるのかも、どんな反応を見せるのかも、知ってはいたけれど、感情のもつれがまた別の動きを見せてくれる。
意外な楽しみになってしまった感が否めない…。
「ショウ…」
懇願する瞳を向けられては、尚治の自制心も吹っ飛ぶというもの。
そんな態度を、口にしなかったけれど、やはり…可愛いと思った。

尚治は膝裏を抱え上げた。片足を肩にかけさせてグッと折り込むと、窄まった秘部が大きく開かれる。
自分の怒張から滴る体液を擦りつければ、飲み込みたそうにヒクヒクと震えた。
「ショウ…っ…」
焦らすな…と言いたいのだろうか。
歪んだ顔中にキスの雨を降らせ、「挿れるよ…」と分かり切ったことを囁く。
「ん…っ」
返事が早かったのか、亀頭が抉ったのが早かったのかは微妙なところだ。焦っているのは尚治も一緒。
「あ…っ」
絡みついてくる肉筒に揉まれながら、尚治の雄芯は徐々に最奥を目指した。
全てを押し込め、締め付けてくる苦しさに圧倒され、だけどどうにか自分の意識を保とうとする。
「長流…」
囁いてはくちづけて、長流の苦しさをほぐそうとした。
いくら慣れている、とは言っても、キュウキュウに締め付けられるのは尚治にとっても辛い。
体の力を抜いて…と…。

ほんのちょっとのすれ違いが解決して、更なる信頼関係を築き、お互いの想いをより一層感じる。
近くにある、幸せだ…と思える時でもあった。
いつもと違う表情や態度は確かに意外な楽しみかもしれないけれど…。
『安全』の中で暮らしたいと思うのは性格なのだろうか。
どうあれ、今日のように精神を痛まされるようなことは起きてほしくない。

「う…ご…ぃて…」
「平気?」
もっと感じたい…と切望されては、堪えることなんてできない。
ゆっくりと引き抜き、また差し込んでいく。
スライドを繰り返すたびに、汗で湿った尚治の肩から長流の脚が零れ落ちた。
「あぁっっ」
角度が変わったのか、一際大きい嬌声が漏れた。
でも気持ちを表すように、長流の両足が尚治の腰に絡みつき、より密着する。腕は首に巻かれ、苦しさの中でも、何度もくちづけを求められた。
腹の間で擦られる長流の分身が、悦んでいると伝えてくるように、涙を零し続けた。
数度の抜き差しの後、尚治の動きが激しくなれば、同調するように長流も合わせてくる。
…体の相性ってあるんだなぁ…、などと、呑気な思考が脳裏を掠めていった。
これ以上もこれ以下もない、特別で、最適なパートナー。

いつもはギリギリまで耐える、…待つのに、正直な解放を望むのか、長流は呆気ないほど早く白濁を迸らせた。
その波に、やはり尚治も飲み込まれてしまう。
「あ、あぁ、っ、はぁっ…っ」
「…っ」
最後まで絞りだそうとするのか、首に巻かれた腕に力が入れられ、全身を抱き寄せられ、擦りつけられる腹と、体内の圧迫に尚治も眉をしかめるしかない。
奥深くに自分の液を注ぎ込む。

ふたりの体が弛緩して、パタリと長流の両足がシーツの上に落ちていく。
やっぱり、いつもと違う…と尚治は胸の内で思いながら、恍惚とする長流の頬に指を這わせる。
「こんな長流に出会えるなんて…」
年上と思っていたけれど、どこまでも並んだ存在。
一つの壁が取り払われたような気すらした。
頼るだけでなく、甘えられることも、付き合う二人にとって必要なこと。
息を整えようと胸を大きく仰がせる長流が、どことなく戸惑ったように視線を合わせてきた。
「ショ…」
何か言いたそうな瞳は、縋りついてくるもの…。
どうしたのかと尚治はもっとその瞳を覗き込んだ。

照れを纏う、眦の火照り…。
これも珍しいことだ。
その眼差しは色気をたっぷりと含んでいて、吐き出したばかりの雄がドクンと脈打った。
「っあっ…ぁっ…」
胎内の中が一番感じているのだろう…。
開き直った態度は大人の強みか…。長流から強請る息が吐き出された。
「…もっと…」
掠れる声に含まれた願望の声が余計に尚治を昂らせていく。
この誘い方だけは…。
苦笑の下に、でも逆らえない欲望の渦がまた湧きおこってくる。
全身を抱きしめ返したら…。
「ショウだけだよ…」と新しい告白が聞こえた。
「うん…」
尚治が抱えた不安を払拭してくれる。
当てつけられることを嫌だと言った尚治への答え。
また返せば、長流も、今回のような落ち着きの無さを感じたくないというものに繋がる。
やっぱり年上も年下もないんだよ…。想うことは一緒なのだから…。
心に嬉しさが満ちていく。
抱いた体は男のもので…。そう簡単に折れるものではないけれど…。自分よりも華奢な体が、やはり弱い精神状態を表しているように見てとれた。

…ずっとこうやって包んでいってやるから…。

尚治の内心で囁かれ誓われた台詞を、長流は聞くことがないだろう。
いや、いつか言うことがあるのだろうか…。聞いたところで悔しがるだけだろうけれど。

揺れ動いてしまう体の下、しっかりとしがみついてくる見た目よりも細い体が、何よりも愛おしいものになった。
少しのすれ違い、それ以上に繋がる絆…。

…雨の日も晴れの日も、共に歩もう…。

―完―

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相変わらず、視点が変わりまくってすみませんでした…。
もうちょっと長流の感情を書く気でいたんですけれど…。頭からすっぽり抜け落ちてしまいました。
でも今回、どことなくお子様になってしまった長流と、包んでしまう尚治だったということで…(←保育士)
リク主様、こんなものですみませ~んっ。


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