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ご訪問いただきありがとうございます。大人の女性向け、オリジナルのBL小説を書いています。興味のない方、18歳未満の方はご遠慮ください。
BLの丘
チョキチョキ 1
2011-06-01-Wed  CATEGORY: チョキチョキ
ファミリーレストランのホールのユニフォームは、アルバイトが白のシャツに蝶タイ、腰に膝上までの黒のエプロンを身につける。
それは正社員の代わりに店を任される存在のリーダーとなった契約社員でも変わらなかった。
唯一、ネームプレートに『時間帯責任者』と入ることくらいだろうか。
正社員ともなればジャケットとネクタイを着用しなければならなかったから、客から見たら明らかな違いがあるわけだ。
最悪、客から正社員の存在を求められた時には、常駐する厨房の社員を呼んでくるしかない。
そんなことがないように、と、店長、副店長の不在時にはいつも以上に緊張をして仕事にあたった。

27歳である所沢春日(ところざわ かすが)は、細身の華奢なタイプだった。細面の顔がより一層頼りなさげに見せるが、実際には良く動き社員からも慕われている。
40代の半ばを過ぎて小太りとなった店長よりもずっと身軽に店内で活躍していた。
以前正社員で働いていたある会社を、人間関係の問題から辞めてしまい、フリーターとなってこの店に辿り着いた。
全くもって時間に制限のない春日は、ほぼ正社員と変わらない扱いで働いている。
正社員と違っていることは、転勤がなく、この店の中だけで過ごせることだった。
一時期アルバイトの掛け持ちをしたのだが、「契約社員として昇格させるから、全てのバイトを辞めて来い」と当時の店長に言われて『専属』となってしまった。
大幅な時給UPとボーナス(お小遣いみたいなものだが)まで支給される待遇に二つ返事で了承した。
今では異動の多い正社員よりも詳しく店のことを知る。

「所沢君、あそこのテーブル、片付けたら休憩に入って」
昼間の時間帯はほとんど正社員がいてくれる。春日が深夜の時間帯のリーダーとなることは滅多になかった。
深夜は定着したリーダーが育っている。人手不足の時に呼ばれるくらいだ。
店長から指示をもらって春日が仕事を終えて戻ってくると、また店長に呼ばれた。
「休憩から戻ったら、ちょっと店、任せていいかな?」
ランチのピークタイムを終えたばかりの時間だ。
店長の本日のシフトは夜の10時までだったから、この時間帯に『店を出る』的なことを言われるのは驚きだった。

「え?どうしたんですか?」
「他店に食材を借りに行って来たいんだ。この前、吹上(ふきあげ)が発注間違えやがってさぁ」
吹上というのは、この店舗に異動してきて間もない副店長のことだった。
厭味ったらしく言ってはいるが、現実には店長も時々同じようなミスをやらかす。
その度にオーダーストップになってしまうか、他店舗から少しでも分けてもらえないかと相談して、副店長や厨房の社員が走らされていた。
現在、この店には正社員は店長と料理長の2人しかいない。
食材や備品の貸し借りはしょっちゅう行われていたが、その飛脚に契約社員やアルバイトを使用することは禁止されていた。
事故を起こした時の対応が複雑になるかららしい。
借りられる物が見つかったとしても、取りに行ける人間がいないのでは意味がなく、厨房から社員をいなくならせるわけにはいかないのだから、この場合店長が赴くしかなかった。
幸いにもホールには『責任者』としての資格を持つ春日がいた…ということだ。

「そうだったんですか。いいですよ。どの店舗ですか?」
春日の話し方は人当たりのいい、大人しい口調だった。だから苦情がくることも滅多にない。
そんなところもあるから店長は安心して任せてくる。
店長から行き先を聞けば、往復で1時間半はかかる店だった。更に世間話をしてくるのだろうから、最低でも2時間は戻ってこないことが分かる。
店長も接客するための要員であって、一人でも居なくなられるのは仕事の負担が増えるということ。
ディナータイムまでには戻ってきてもらわなければ困るのは春日の方で、春日はさっさと休憩に入ることにした。

休憩室には厨房のアルバイトである大学生の鳩ケ谷がすでにおり、のんびりと従食を食べながら漫画本を読んでいた。

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またもやレストラン話…。
以前『真っ赤なトマト』で登場させた人物です。その時は名前はなかったけど…。
そして、なんだ?このタイトルは~???です…。

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チョキチョキ 2
2011-06-02-Thu  CATEGORY: チョキチョキ
「所沢さん、休憩?」
「うん、この後、店長『借りもの』で出ちゃうんだって」
休憩室のテーブルの上に春日が食事と飲み物を持って現れると、鳩ケ谷から声がかけられた。
彼の目の前に腰を下ろし、世間話が始まる。
せっかく読んでいた漫画本を閉じさせてしまったのは悪かったかな…とも思うが、人がいれば会話をすぐに始めてしまう鳩ケ谷の性質は良く知っていた。
明るい性格で誰にでも良く懐く。
素直、というべきなのか、人懐っこい姿は見た目の逞しさとは裏腹に可愛げがあった。

「ねぇねぇ、今度さ。本庄さんのとこのお店に行ってみない?」
昼飯にしては遅い時間の食事を始めた春日に、鳩ケ谷が話を振ってくる。
敬語も何もあったものではない気安さが、余計に身近な人間として認知させるのか。
「あぁ、あのお店…」
かつて、このファミレスで正社員として働いていた、厨房勤務の本庄と副店長だった熊谷が揃って退社をした。
コックとして本庄を必要としたレストランに、熊谷も呼ばれた、という話になっていたが、真相のところは知れない。
また会える、という口実はいくらでもあるのは嬉しいことだったが。
その店に行ってみたいと、鳩ケ谷は言い出したのだ。

「この前本庄さんからメールが来てさ。『新しくメニューが変わった』ってあったんだ」
「あのレストラン、季節メニューが豊富だって言ってたよね」
「話だけで一度も行ってないしさ。所沢さん、車持ってるじゃん」
「『足』かよっ?!」
「久々に熊谷さんにも会いたくない?」
春日が熊谷を慕っていたのは誰もが知っていた。
熊谷がこの店にいた2年という月日、熊谷はひたすら春日を褒め称えて、やる気を失わせなかった。
気遣いがとても良く、従業員のことを一生懸命考えてくれた態度に嫌うものは浮かばない。
フリーターという立場から抜け出せなかったのは、この店の居心地の良さもあったのだろう。
そんな熊谷が最後に見せた姿が、常に持っていた緊張感を解いたような初心な態度で、その後の行方は確かに気になるところではある。
さりげない誘い文句に春日も頭を巡らせた。
「深谷さん、都合つくかな…」
深谷は現在でもこの店で働くまだ若い厨房社員だ。入社時の年齢差があったが、熊谷と同期だと言っていた。
最後の別れの飲み会を本庄の部屋で開いた時に一緒に盛りあがった。一番近しい者だけを集めた親近感がふつふつと甦って来る。
どうせ行くなら皆で行ったほうが今後の話題として盛りあがれそうな気がした。
深谷も熊谷を随分と気に入っていて、何かとちょっかいを出す本庄を恨めしそうに見ていたのを思い出す。

「行くんだったらどっち?昼?夜?」
「ランチのほうがお得そうじゃない?」
春日が問いかけたことに、ビンボー大学生はすぐに切り返してくる。
中間帯という、一番客が空く午後の時間は営業していないので、必然的にランチかディナーの時間に行くしかなかった。
「でもさー。昼間って有閑マダムっぽい女性客がたんまりといそうじゃない?浮かない?俺たち」
「あぅっ」
現実を思い浮かべたのか、鳩ケ谷からひっくり返ったような声が上がる。
お洒落なお店である、というのはすでに本庄から聞いた情報だ。そのことが今まで足を遠のかせていた一因かもしれない。
そこに男3人で赴けば嫌でも目立ちそうである。
「えー、夜~ぅ?本庄さん、おごってくんないかな~ぁ」
「甘えてんなよ」
確かに鳩ケ谷は本庄に可愛がられていた。文句を言いつつも「ハイハイ」と引き受ける鳩ケ谷を本庄が気に入っていたというべきか。
熊谷なら、あの気の良さから、「せっかく来てくれた」と言いながら、本当に奢ってくれそうだ、とも思う。

なんにせよ、3人の揃っての休みがどこにあるのかを調べる方が先だ。
シフトのスケジュールはすでに半月以上先まで決まっている。
春日も熊谷に問いかけてみようかと、久し振りの交流に胸を躍らせた。

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なかなか話が進まなくてすみません…。
今回、タカと圭吾は脇役なので苗字で登場させているのですが、分かりづらいですか?
もしなんだったら、直そうかな…とも思っています。

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チョキチョキ 3
2011-06-03-Fri  CATEGORY: チョキチョキ
春日が熊谷にレストランの状況を尋ねると、確かに女性客が多い店らしい。
だがディナータイムはカップルも増えて、男性客も増えていると言う。
ともなれば、必然的に赴きたい時間帯は夜であって、鳩ケ谷を言いくるめることにした。
『来てくれるなら奢ってあげるよ』
案の定、熊谷からは予想していた言葉が返ってきて…。もちろん丁重にお断りする。
いくらなんでも図々しすぎると春日は思っていた。
多少の割引、というのであれば分かりはするものの、『会計の伝票を引っ込められるのであれば行けない』、と。
鳩ケ谷に伝えれば大喜びなのだろうが…。

次ぐ日の休憩中、張りだされたシフトのスケジュール表とにらめっこをしているところに、深谷が顔を出してきた。
休憩室は厨房のすぐそば…というより、丸見えの状態なので、話しかけられることは多かった。
「鳩ケ谷から話を聞きましたよ! 行きますっ!!俺っ」
この男もやたらと人懐っこい。年が近いという点で鳩ケ谷とも気があっている。
元気な姿に、片や休憩中、片や勤務中という状況をそっちのけで話が進んだ。
「行くんだったら夜でしょ、と思っているんだけど。深谷さん、寝る時間がなくなっちゃうと大変でしょ?」
深谷の勤務時間はあまりにも不規則だった。次の出勤まで9時間もない、などザラである。
単純に仕事が入っていない時間、と探したところで、束の間の休息時間を奪うのはどうかと考えてしまう。
熊谷たちが働くレストランは車の移動でも1時間は要した。往復の時間とレストランで食事をすることを考えると全員が完全に余裕のある時がいい。
「問題ないっス。つぅか、早く行かないとメニュー変わっちゃいますよ」
「いや、あそこの店、常に変わってるらしいから…」
慌てて行く必要はないと宥めてみるのだが、一度話題として持ちあがってしまったことに気が急いてしまうのは人としての性なのだろうか。
新しく出されるシフト表を待って、3人一緒に休みにした方が無難ではないだろうか、と春日は考えていた。
その提案を見事に深谷が打ち砕いてくれた。
一緒に予定表を眺めた深谷はある日を指さす。
「この日は? 俺、朝10時上がりだし、次も夜11時からだし、鳩ケ谷休み、所沢さんもランチタイムだけでしょ?」
夕方の早い時間に行けば戻ってこられないこともない。

結局深谷が押し切る形で、そして鳩ケ谷の同意もあって、春日は1週間後のその日に車を走らせることにした。


辿り着いた店は清潔感あふれる、明るい造りだった。
ファミレスとは違って席数が多いわけでもないが、所々に観葉植物なども置かれて、人の視線を遮る空間もある。
ディナータイムと呼ぶにはまだ早い時間のせいか、客もちらほらとしか見受けられなかった。
チラリと店内の様子を伺うが熊谷の姿は見当たらない。奥で作業をしていれば当然のことと、春日はテーブル席に案内されるまで口を開かなかった。
客層を知る人間なのか、出迎えてくれた凛々しい顔つきの、少し年上かと思う男は、男3人の自分たちを一番奥の席へと案内してくれた。
ある意味、目立たなくて済むことに、少しホッとする。
その男が一礼して離れて行く前に、ふと問いかけた。
「すみません。熊谷さんは本日いらっしゃるのでしょうか?」
一応事前に連絡はしてある。
それでも過去の気遣いを知る春日には、当然待たれていると思っていただけに、迎えられなかったことの違和感を覚えた。
常に客席に視線を走らせていた頃の姿が今でも脳裏に残っている。
この客の少ない中で、春日たちの姿を見れば顔を出して来る行動が、これまでに知った熊谷である。

案内してくれた男が微笑んだ表情のまま、少しだけ眉を揺らした。
「熊谷をご存知ですか?」
ものすごく丁寧な語り口調だ。それでいてさりげなく、こちら側の様子を伺っている。
話を切り出したのは春日だが、まだ若い目の前に座った鳩ケ谷と深谷に視線を回し、全員が求めているものを瞬時に嗅ぎとっている。洞察力の高い人間だとは、接客慣れした春日も知れた。
落ち着いて尋ねてくる態度に、過去の職場であるファミレスで共に働いていたのだと伝えると、「本庄もお呼びしましょう」と状況をすぐに察してくれた。
「え、でも、お忙しいのなら…」
「せっかくお越しくださったお客様に顔を見せない方が失礼ですよ」
柔らかく微笑んですぐに立ち去って行く。
あまりにも堂々とした後姿に、春日は接客する上での見本を見た気がした。

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まだ進まない…なかなか進まない…。いつになったら展開が…(汗)

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チョキチョキ 4
2011-06-04-Sat  CATEGORY: チョキチョキ
数分の時を置かずに熊谷が姿を現した。
以前一緒に働いていた頃よりもずっと柔らかさが増した感じだった。客席に出る時の緊張感が見当たらない、打ち解けた雰囲気は、『副店長』という立場を離れたからなのだろうか。
「いらっしゃいませ」
客、というか、親しんだ仲でも向けられる笑みがこれまでとは違って非常に明るくて、一瞬、テーブルに座った3人とも『誰?』と思ったくらいだ。
「熊谷さん、なんか、変わった…」
ポツリと深谷が呟く。全員が思っていることだ。
「うん。磨きがかかってる」
「磨き?」
鳩ケ谷にまで言われて熊谷が首を傾げると、後から本庄が顔を出してきた。
「よう!元気にしてたか~?」
コックコートを着た料理人が顔を出すのは、この店では変に感じることもないのか、本庄の登場にも他の客はチラリと視線を送っただけで自分たちの世界に戻っていく。
「熊谷さ~ん」
鳩ケ谷が熊谷めがけて飛びつこうとするのを直前で本庄が遮った。
「おまえ、前科あり!」
「え~っ」
不貞腐れる鳩ケ谷の頭をぐりぐりしている本庄の姿は、過去の職場での見慣れた風景だった。
春日は、『あ~、やっぱり…』と内心で呟く。
公にはしなかったが、本庄と熊谷が性的な意味を含めて付き合っている、のだと改めて感じられる二人の関係が、今は自然と伝わってきた。
熊谷の頑なさがなくなったと言うべきか…。
端から見ていてもなんとなく、安心できる落ち着きが二人の間に漂っていた。

だからといって今更、熊谷たちのことを冷やかす気はなかった。今の光景を見ていれば、他の人も察するのが分かるし、店先で騒ぎたい話題でもない。
束の間近況報告を兼ねた話をして、本庄は持ち場へと戻っていく。
熊谷に『お勧め』を聞きつつ、オーダーを頼み(あまりにも種類が多くて本当に悩んだ)、そっとその働く後姿を眺めた。

故意的に、なのかどうかは分からないが、自分たちのテーブルは終始熊谷が担当してくれた。
ファミレスのように客を立たせることのないサービスの仕方は感心させられる。
こういったところの気配りはやはり、さすがだ、としか言えないが、その影で全ての客席に目を光らせている男がいることを知った。
もともと熊谷の気遣いの良さは承知しているが、それを上回る。熊谷も彼の指示を受けて動いているところが多いことにも気付かされた。
同じくホールに立つ人間だから気になる、といったところだろうか…。

「こういう、繊細な盛りつけってできるもん?」
鳩ケ谷が目の前に出された最後の、プレートに乗ったデザートを前に感嘆の声をあげる。
ケーキとアイスがホイップとソースで飾られているだけだが、見た目だけで豪華さを表していた。
ファミレスで出すものとは明らかに違った盛られ方には、『職人』としての意気込みが感じられるほどだった。
「それだけ技術力が高いってことでしょ」
このレストランが繁盛する理由が理解できる、といった感じで深谷が唸っている。
決められたことをやりこなすだけの今の職場とは違いすぎていた。

この後の深谷の勤務のこともあったので、あまり長居することもなくレストランを出ることにした。
「熊谷さ~ん、また一緒に飲みましょうね~」
鳩ケ谷が懐くのを出てきた本庄が阻止している。
それらを他の店員を含め、皆でクスクスと笑っているところが、この店の労働環境の良さを物語っていた。
熊谷の中で巣食っていたものが剥がれたのは、全ての人間の繋がりがあるからなのかもしれない。

春日が代表して会計をしていると、全てを見つめていたような男が金の受け渡しをしながら語りかけてきた。
「君は接客に携わる方かな?」
最初の頃の堅苦しい言葉使いではないのは、熊谷と本庄の存在があるからだろう。
寄り添ってくるように語られる口調は嫌ではなかった。
突然の問いかけに春日の中で疑問符が浮かぶ。
「え、えぇ。はい、そうですが…」
「やっぱりね。店の動きを良く見ていたから、そうかな、と」
クスリと笑った笑みには嫌味も何も感じられなかった。
それよりも、春日の方に、盗み見をしていたような後ろめたさが湧いた。
「君の目は実にいい」
咎められるかと思いきや、褒められるような口調に何のことかと春日は思わず首を傾げた。
同じ時に、「てめーら、とっとと帰りやがれっ」と蹴るマネをした本庄の声で、全員の視線がそちらを向いた。
鳩ケ谷と深谷がよってたかって熊谷にちょっかいを出していたらしい。
「圭吾君、客席でそういうことは口にしない。本日はありがとうございました」
責任を取るような男の穏やかな声が腰を折る姿勢とともに発される。
ニコニコと笑っているところを見ると、他の客の手前…といった感じなんだろう。

「また来ますね~」と挨拶を済ませて、3人は帰る車に乗り込んだ。

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秘様 旅日記楽しく読ませていただきました。羨ましいことです~。
そして、今頃になって気付いた…。埼玉県、なんでこんなに『谷』が多かったの.....(;__)/| (みんな似た名前になっちゃったじゃん…)

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読みかえしている方なんかいないだろうなーーーーと思いつつ。『真っ赤なトマト』の→番外に曲をはりつけ、ついでに、別宅にも張ってきました。
なんとなく、孝朗のイメージであって…。
無駄足踏ませてしまったら本当にすみません。
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チョキチョキ 5
2011-06-05-Sun  CATEGORY: チョキチョキ
月日があっという間に過ぎて行く。
忙しく店内を走り回り、新しく入ったアルバイトの指導なども任されて、日々は同じことの繰り返し…でありながら、接客という、人との交流の中に毎日の違いを感じる。
従業員との会話も、起こる出来事も同じ日はない。

ある日、2人連れの男性客がやってきた。
30代になったばかりかといういでたちで、二人とも硬質なイメージがあった。
同じくらいの長身と、歩き方や対応の仕方も非常に丁寧で、二人は同僚かな、と思われた。
シャツにパンツを合わせただけの軽装だったが、人を見定めるような視線を感じる。
色々な客がくるし、『客』に見られることはしょっちゅうありはするが、あからさまに追いかけられるようなことは滅多にない。

「店長、あの方達、本部の人、とかじゃないですよね~?」
たまに抜き打ちで店舗見学をされることがある。そうともなれば店長も気を抜いていられるはずがなく、神経を尖らせた。
パントリーの中でぼそっと春日が呟くと、瞬時に客席に視線を走らせる。
さすがに全ての人間を把握しているわけでもない店長だったが、彼らを視界に入れて首を傾げた。
「いや、違うだろう。見に来るのであれば、もう少し年齢層の高い人間だよ」
「そうですか…」
店長が否定をすれば、春日もホッと肩の力が抜けた。
見られている、と感じるのは勝手な思い込みかな、と春日は気にかけないようにしようとした。

だが、どうしても彼らの動きに目がいってしまった。
飲み物を取る為に立ち上がる所作や、ドリンクバーで他の客に対しても気を使う態度。何もかもがスムーズで紳士なのだ。
見た目の年齢でこれほどの立ち振舞いができる人を春日は見たことがなかった。
そして気付くと、一人の男と必ずと言っていいくらいに視線があってしまう。
つまり、『見られている』のだ。

…うぅぅ、やりづらい…。

「所沢君、休憩入って~」
店長からかけられた声が、神の救いの声に聞こえた。

げんなりとしながら休憩室に行くと、深谷がちょうどいた。
「あれ、どうしたんっスか? なんか、疲れてません?」
「うーん。なんだかお客さんに監視されているような気がして…。気のせいなんだろうけど…」
「えー。見初められちゃったとか?」
「ばか言ってないでよ。というより、ここに通ってくれているお客さんじゃないし」
にこにこと笑った深谷を咎める。
よく見かける顔ならすぐに分かる。客とも世間話のような会話もする。話しかけられれば答えるが、あの二人はそういったこともしてこない。
深谷は興味を持ったように立ち上がった。
「どこの客ですか?見てきます」
「おーい、こらこら」
止めはするものの、テーブルナンバーを聞きだした深谷は早速パントリーへと出て行った。

わざとらしくドリンクバーにまで出て行ったのか、両手にソフトドリンクのグラスまで抱えて戻ってきた。
「なんか、大人っぽい人ですね~」
「本部の人かな、と思ったけど、店長、違うって言うし」
「うん、もっと『オヤジ』が来ますよ」
同じことを返されて、ならばこうして与えられる緊張感はなんなのだろう、と春日は首をひねった。
できることなら、この休憩中に帰っててくれれば、と期待する。

しかし、その期待は見事に打ち砕かれた。
仕事に戻って客席を動いていた時に、近くを通りかかった際、ふと呼び止められた。
「所沢君」
名前を呼ばれるとは、明らかに『知った』人間である。

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春日、つかまった~ヽ(゚∀゚)ノ

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