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BLの丘
Present 25
2010-02-14-Sun  CATEGORY: Present
やりたいことってなんだろう…と少し不安に思いながら、あえて聞かないことにした。
どうせ鹿沼が言い出すことはロクなことではない。
「あー、もうおなかいっぱい~」
一通りの料理を食べ尽せば動くのも億劫になるほどお腹はぱんぱんだった。
続きの畳の間に大の字になって転がっていると、食器を片付けにきた仲居さんの姿に慌てて居住まいを正す。
鹿沼は囲炉裏端で何やら話をしていたが、半分は仕事の話のようだった。
雅臣も礼でもしたほうがいいのだろうかと頭を過っていったが、鹿沼に一任させてしまっている今、やたらと横から首を突っ込むのも失礼かと考え直した。

全ての片付けが済んでしまえば、また静寂が訪れる。
外の雪はまだ止まないようで、このまま降り積もったらここに閉じ込められてしまうのではないかという錯覚に落ちた。
「またゴロンてしないんですか?」
盆に乗せたお茶を持ち、寄ってきた鹿沼がからかうように雅臣を見下ろした。
「ゴロン?」
「さっき、浴衣が肌蹴てて色っぽかったのに」
「ば…っ!」
すっかり気を抜いて浴衣のことなど気遣いもしなかった。
鹿沼はお茶を座卓の上に置くと、照れて顔を赤らめる雅臣の隣に腰を下ろした。
「雅臣さんて、たまにこうやって無防備になりますよね。でも他の人の前でしないでくださいよ。浴衣姿を見せるのも嫌なのに生足までなんて…」
言いながら雅臣の足元にそっと手を入れ始める。
さわさわと触れる指先がくすぐったくて身を捩れば、腕の中に抱きこまれるようにして軽い口付けをもらった。
「なに、触ってんのっ!」
「だってあんなのを見せられちゃったら…」
「見せてないからっ」
「この肌蹴具合、すっげーそそる。記念撮影とかしてもいいですか?」
「いいわけないだろっっ!!!!」

何を言い出すのかと思えば突拍子もない発言に余計に顔が赤らんだ。
懲りた様子もなくデジカメなどを出してきた鹿沼に血の気が引きそうだった。
「なにする気…?」
「そんなに構えないでくださいよ。二人で来た旅行の記念に。並んで撮った写真なんて一枚もないでしょ」
再び雅臣の隣に戻った鹿沼が二人の頬をくっつけて、正面にカメラをかざす。
心の準備も整わないうちにフラッシュがたかれて眩しい光が雅臣たちに降り注いだ。

液晶に映った写真の中にはどアップといっていい二人がいる。雅臣はキョトンとした子供のようだった。
「ちょっと、やだっ!こんなの、消してっ」
「なんで?可愛いじゃないですか」
「可愛くなんかないよっ!やだっ!もう写真なんか撮らないっ!!」
鹿沼の容姿は秀でているところがある。近くで並べば比べられているような気分になる。
これまで写真などという記録を残したことのない雅臣にとって、自分の幼さを改めて見せつけられた現実のようだった。
雅臣が頬を染め駄々をこねて鹿沼の胸板を叩いたものだから、鹿沼もそれ以上の無理強いをする気はなかったらしい。
大人しくデジカメをテーブルの上に置いて、雅臣を宥めた。
「ちょっと浮かれすぎましたかね。でも本当に可愛いですよ。雅臣さんは俺のものだっていう証拠写真の一つくらい俺にください」
そう言って子供をあやすように優しい口付けを落とした。

食休みだといって、部屋に備え付けてあった木製のパズルでしばらく遊んだあと、雅臣が「大浴場に入ってくる」と言えば、思いっきり眉間に皺を寄せた鹿沼がいた。
「はぁ?お風呂ならここにだってあるでしょ」
「そうだけど。でもやっぱりあの大きいお風呂に入るって、また趣が変わるじゃん。ここんちの露天岩風呂って有名なの、龍太だって知っているだろ」
せっかく来たからには見られるものは全て制覇するという観光魂が雅臣の中にはあった。
だいたい、客に紹介するにも、こんな特別室を頼む人間など数は限られていて、どちらかといえば一般客室の評価を下したいくらいだ。
「他の客がいたら帰ってきますよ」
「貸し切りじゃないんだからさ…」
「入らせてあげたら言うこと聞いてくれますか?」
「何の?」
「記念撮影」
「…」
「夜中に清掃時間がありますからその時に行って見てくればいいです。その体力が残るかは疑問ですが」
どうやっても人前で裸にはさせないといった雰囲気の鹿沼には絶句するし、意識したくない言葉までが飛び出した。
写真一枚で事が収まるのなら応じてもいいかと思った。認めない限り今夜は動けそうにもない。いや、認めても動けそうにない…。
ともすれば、早いうちに手を打つべきだろう。
「分かったよ…。龍太も一緒に行くの?」
「当然です」

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やっと登場したこの二人です。
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コメント

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コメントきえ | URL | 2010-02-15-Mon 14:20 [編集]
MO様
こちらにもありがとうございます。

>鹿沼ったら、独占欲剥き出しですね~。雅臣も、とっても自然体に過ごせてるようですし、居心地が良さそうですよね。なかなかお似合いの二人ですね♪

温泉に入って裸の付き合いになりました(すでに前から???)
でも個人のおへやと大浴場って、また状況が違いますのでね…。
気兼ねなく脱いでくれる姿はいいかもしれませんが…。
『証拠』を残すことで雅臣をがっちりガードしたい鹿沼のようです。
進みが遅くて申し訳ありませんが、気長におまちください。
コメントありがとうございました。
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