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BLの丘
木漏れ日 36
2013-09-01-Sun  CATEGORY: 木漏れ日
八竜が瀬見に連絡をとると、すんなりとOKの返事がきた。
また鳥海の家が待ち合わせ場所になって、今度は瀬見の車で向かうことにする。
辿りついて思ったけど…。
瀬見がGパンに五分袖のジャケットを合わせたファッションでいるのに、八竜のTシャツとハーフパンツというセンスの違いは…。
…普段着じゃんっ!!
兄弟と思われたくない恥らいが生まれた。
瀬見に洗練されたカッコ良さがあるだけに、どうしたって比較してしまう。
つくづく白神が八竜のどこがいいのか疑問に思うのだけれど。
その白神は、そんなことは関心がないようで、園内マップを広げては、どこから行こうかとみんなに聞いて回っていた。
まずは肩慣らしに一回転ひねりのジェットコースターから、と乗り場に向かう。
家の中ではすっかり家族のように親しんだ間柄でも、外に出ればぎこちなさが漂う。
そこは、海のように解放的ではないからなのだろうか。
前列に鳥海と白神で並び、背後に八竜と瀬見が立っていたのだけれど、いざ乗る時に、鳥海は瀬見に腕を引かれた。
「え?」
「鳥海くん、こっちおいで。八竜とじゃ幅が狭すぎる」
二人並びの、一人ずつ席が決まっているのだから、決して狭いということはないのだが、確かに体格からしても、兄同士の並びは見た目に圧迫感があった。
だからといって、兄弟で乗りたいものでもなく、当然のように組み合わせは決まる。
白神にとっても鳥海にとっても好都合なお誘いを断る理由などあるわけがなく、「じゃあにぃ、藤里のことお願い」と場所を変わった。
まさかいきなりこんな展開になるとは…。
藤里など、万遍の笑みにさらにオーラがかかったような眩しさに包まれているのではないかと思うくらいだ。

「鳥海くんは、乗り物は平気なの?」
「ほとんどは。でも見るからに足が竦むものもあるよ」
「たとえば?」
「えーと…、スカイダイビングみたいなの」
鳥海が答えると、プッと吹き出された。
「それも一応"乗り物"になるのかなぁ」
飛行機…という点では…と目を細めている。
鳥海は基本的に機械に固定されているものであれば、あまり恐怖を感じることはなかった。
答え方を間違えた、と思った時はすでに遅い。
苦手なアトラクションを聞かれたのは理解できたけれど、怖いと思うものが咄嗟に浮かばずに、記憶していたものが口から滑りだしてしまったのだ。
「あ、え、と…」
「いいよ、いいよ。強靭な心臓をお持ちのようで」
瀬見がからかいながら、鳥海の頭上を撫でてくる。
その仕草が、あまりにも自然で、内心で『あっ』と思ったのだが意識しないように努めた。
瀬見はいつだってこうして、何でもないことのように接してくる。
そう、誰にでもしているのだというくらい、普通に…。
それが嬉しいのに、なんだか悲しくもあった。

乗る順番になると前列に八竜と白神が乗りこむ。後列に鳥海と瀬見だ。
「鳥海~、頭の上にゲロ吐くなよ~」
「にぃこそ、降りたときに腰抜けてないでよ」
「次は僕たちが後ろになりましょうよ」
などと、悪態やら冗談やらを交わしながら出発の合図が鳴った。
一番高いところまで行って、あとは下りながら幾つもの山を通り、一回転ループを通りすぎてゴールという、実にシンプルなものだ。
乗り始め、徐々に上がっていく時、キョロキョロとしながら、「あ、あそこに○○が見える」と鳥海が指をさすと、「鳥海くん、余裕だね~」と顔を覗きこまれた。
そういう瀬見にも緊張感のようなものは微塵も見当たらない。
風を切り、下りていくなかで他の人と混じって「うわぁ~っ」など声を上げれば、一気に気分が高まる。
車両を降りるとき、さりげなく手を差し伸べてくれる瀬見の掌を、無意識に掴んでしまったけれど。
興奮度が上がり始めたばかりの鳥海は、すぐには気付くものではなかった。

次から次へと場所と乗り物を変え、アメリカンドッグとドリンクのおやつをベンチで消化した。
売り場の前で八竜にケチャップとマスタードの量を確認している白神がいて、瀬見は両手に持った状態で「一緒にかけちゃって」と鳥海に委ねてきた。
ベンチでは中央に鳥海と白神を挟んで、両脇に瀬見と八竜が腰を落ちつける。
改めて見るとやっぱり甲斐甲斐しく動くのは白神のほうだと分かる。
鳥海といえば、親鳥からエサを分け与えてもらう雛鳥状態だ。
鳥海も瀬見に何かと手をかけてあげた方がいいのかと、頭を掠めはするものの、何事に関しても瀬見の方が一歩先に動いてしまうので、声をかけるまでもいかない。
…えーと、これは何?ものぐさな兄弟を露呈しているの…?
少しばかりの戸惑いを覚える。
同じことをされているのは分かるのだが、雰囲気は全く違う。
八竜と同じように思われたくないのは、いつも比較されてきた過去があるからだった。
知らずに対抗心を持っている。
瀬見には、…瀬見だからこそ、八竜と比べられるのは嫌だった。
瀬見がそんなことをする人ではないと理解していても、八竜のことを知るだけにどうしても心配事となって心に刻まれてしまった。

「鳥海くん、それ、どんな味?」
瀬見がベンチの上に置きっぱなしになっていたドリンクカップを指さす。
濃い赤い色をしたジュースは"ミックスジュース"で、売り場には『ストロベリー・ブルーベリー・カシス』とあった。
どんなものか分からずに好奇心で頼んでみたのだが、意外とさっぱりしてて美味しかった。
瀬見はアイスコーヒーを飲んでいる。
「飲んでみる?」と差し出すと、「じゃ、一口」とストローに口をつけた。
瀬見の飲む様をじっと見ていると、少しだけ眉をひそめる。それから苦笑いを浮かべた。
…美味しくなかったのかな…。
「ちょっと甘いかな」
フルーツとして食べる分にはいいそうだが、飲み物としては歓迎できないらしい。
へぇ、と好みの違いを覚えながら、返してもらったドリンクを鳥海も飲んでみた。
それからアイスコーヒーなんてどれも同じだろうと思いながら眺め返し、「そっちは甘くない?」と問えば、ハイと口元まで寄せてくれた。
鳥海は手に取らずに吸って、やっぱり眉間に皺を寄せた。もう、思いっきり。
ミルクが入っていないのは色で分かっていたけれど、まさか砂糖までもとは…。
「にがい…」
瀬見がクスクスと笑っている。
手をひっこめてカップを置いたあと、また鳥海の髪を撫でた。
「鳥海くんは甘いもの好きだものね」
デザートを頬張っていた過去を思い出されたようで、途端に顔が熱くなった。

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コメント

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なんだかなあ
コメントちー | URL | 2013-09-01-Sun 06:13 [編集]
えーっと。えーっと。
何だか恥ずかしい気になるのは気のせい?
うん、気のせいだよね。
気のせい気のせい。

しかし、ものぐさ兄弟ってねえ(笑)
よく言った、鳥海くん。
気がついたなら、まず母さんを手伝え!
泣いて喜んでくれる・・・はず?

で、間接キスしてるけどね?
わかってる?わかってないよね?
気づいたとき、何かが変わるかなあ。

腐①「あ、ゴミ!」
腐②「早く行かなきゃ」
腐③「もう、嫌ですぅぅ」
腐④「行かないと休憩もらえないよ!」

し「私のコレクショーン!」

いじらしい?師匠のコレクション収集のため、
働く腐レンジャー。

「お兄ちゃん、あいす~」
「よし、買ってあげるよ」

キラン!

「「どれに乗るの?あれ?あれ楽しそう」」
「「単独行動するなぁぁぁ」」

キラキラキラキラン!
Re: なんだかなあ
コメントたつみきえ | URL | 2013-09-01-Sun 07:06 [編集]
ちーさま おはようございます。
いつも朝早くのご来店、本当に感謝です。

> えーっと。えーっと。
> 何だか恥ずかしい気になるのは気のせい?
> うん、気のせいだよね。
> 気のせい気のせい。

絶対に気のせい(笑)
まぁまぁ、微笑ましい光景ではないですか。
ものぐさ兄弟の雰囲気の違いが読者様に伝わると良いのですが…。
行間を読んでもらえるか…。そんなもの書ききれないきえちん…(汗)

> で、間接キスしてるけどね?
> わかってる?わかってないよね?
> 気づいたとき、何かが変わるかなあ。

まだ、ねぇ…。
だっていっつもデザート半分こしている鳥海です。
藤里とフツーにやっているけど、間違いなく、にぃの教えだろうね。
<ちっちゃいころ>
にぃ「うみ、先に食えよ」
うみ「うん」
にぃ「そしたら次、にぃちゃんな」
うみ「うん」(欲張って目一杯口をあける)
にぃ「あーったく、また口の周りべたべたにして~」(こっちは一応指で拭ってペロリ)

そう、フランクフルトって最初書いて、いや、これはマズイだろ…と思いなおしてアメリカンドッグになりました。
あんまり変わらない???
腹持ちも良さそうだし(←)
子供って絶対にアメリカンドッグ欲しがると思うのは私の気のせいでしょうかね。

> し「私のコレクショーン!」

師匠、すっかりゴミコレクター(o´艸`o)
あ、こちらにも間接キスの人が~~~(←)

> 「「どれに乗るの?あれ?あれ楽しそう」」
> 「「単独行動するなぁぁぁ」」

双子王子の我が儘行動に下僕はついて行けるでしょうか。
(でも迷子になった時、すごく特徴あるよね。『手を繋いでいる双子なんですけど…』と。)
コメントありがとうございました。

ひとつ、二つ、三つ、(*`▽´*)ウヒョヒョ
コメントけいったん | URL | 2013-09-01-Sun 18:48 [編集]
腐友のおかげで コレクションが、瞬く間に増えて 笑いが止まらない私♪
みんな (人'▽`)ありがとう☆

ちーさんが仰ってるように この恥ずかしくなる空気感は 何なんでしょ!?
やっぱり 瀬見の言動のせいですよねd(≧ω≦)ネッネッ
こんなに 鳥海の心を トロトロに溶かせて もう どうなっても しんないから~~!!

男なら ソノ気にさせたなら 最後まで 責任もつべし!d( ゚ェ゚ )ビシッ!

藤里と にぃにも まぁまぁの雰囲気だし
それに デートの定番と言えば、遊園地に 水族館ですもの もっともっと 親密になぁ~れ、二組さん♪

そう言えば 初めてのデートは 映画が良いそうですよ。
緊張して喋らなくても 全然OKですし、見終わった後は 映画の話しで盛り上がれるとの事

皆さんの思い出に残る 最初のデートは、何所ですか?
ちなみに私は SF映画でした。∑( ̄◇ ̄:)エッ!? 
しかも 3組のトリプルデート… これは 同性同士が かたまって話すので 失敗でした(苦笑)
Re: ひとつ、二つ、三つ、(*`▽´*)ウヒョヒョ
コメントたつみきえ | URL | 2013-09-01-Sun 23:22 [編集]
けいったんさま こんばんは~。

コレクション溜まっていっているようで良かったですね。

> ちーさんが仰ってるように この恥ずかしくなる空気感は 何なんでしょ!?
> やっぱり 瀬見の言動のせいですよねd(≧ω≦)ネッネッ
> こんなに 鳥海の心を トロトロに溶かせて もう どうなっても しんないから~~!!

瀬見サン、運び方が…(o´艸`o)
鳥海、この先どうなっちゃうのかなぁ。

> 男なら ソノ気にさせたなら 最後まで 責任もつべし!d( ゚ェ゚ )ビシッ!

そうでーす。
どっかの誰かさんみたいにトイレで捨てちゃだめだよ~。
拾ってくれる人がいたからいいけどさ~。
修羅場と化す(どっちもお兄ちゃん 怖いから)
藤里たちも変化あるかしら?

> そう言えば 初めてのデートは 映画が良いそうですよ。
> 緊張して喋らなくても 全然OKですし、見終わった後は 映画の話しで盛り上がれるとの事

なるほどね~。
初デートで映画見に行った人なんて2人しかいなかったわ。
きえちん、最初の最初のデートは、好きなDJのオフ会で知り合った人と そのバンドのライブに行きました。
今の時代ではやってくれないだろうな…。
『○○駅△出口 目印□□持って待ってまーす』とラジオで流してもらって、興味持った人が集まるのさ。
いえ、私はそんなハガキ、書きませんよ。
鳥海みたいに行っちゃっただけです。

コメントありがとうございました。
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