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BLの丘
見下ろせる場所 44
2011-08-18-Thu  CATEGORY: 見下ろせる場所
R18 性描写があります。閲覧にはご注意ください。


皆野が待たされていたのは自分で良く分かることだが。
慎弥も我慢していたところがあったのか、いつもよりずっと締め付けてきて離そうとしない。これも淋しさの表れか。
あっという間に持って行かれそうな気がして、慎弥の弱点を張りだした部分で擦り上げれば、もっと高い喘ぎ声が響いた。
「あぁぁぁ、んっ、あ――っ」
皆野と慎弥の腹の間に挟まれた慎弥の雄芯からコプッとぬるりとした体液が噴き出してくる。
きゅうっと強く首に抱きつかれたことで、慎弥の限界が近いことが知れた。…というより、皆野もギリギリのところにいて、煽った、とも言えるのだが…。
「みな…っ、皆野っ、も、だめ…っ」
「あぁ、俺も…」
焦らすどころの話ではない。いや、それはまた続きで…などと、今後の策略が脳裏を駆け巡ったが、いかせん目の前の快楽に溺れたい欲求の方が今は強い。
潤んだ瞳で見上げられて何の我慢ができるというのか…。
皆野は慎弥の腰を掴み直すと、スライドする動きを速める。
途切れることのない慎弥の嬌声と呻くような皆野の声が混じり合う。
「あぁっ!…っ!!皆野っ」
「慎弥っ」
自分の肉棒を叩きつけるのと同時に扱きあげた慎弥の雄芯からも熱い飛沫が迸った。

充足感に満たされたような慎弥の表情が実にいい。
伝い落ちた慎弥の涙を舌先で掬ってから、彼の上に崩れ落ちた。
皆野の重さに奇妙な声が上がった。掠れる息の奥から「重い…」と苦情が投げられる。
分かっている。分かっているが…、まだ引き抜きたくないのだ。でも体は投げ出したいという我が儘…。心地良い満足…。

自分を包んでくれる熱い存在。
守り守られ、進んでいけたらどれだけ良いだろう。
慎弥がいるのであれば、いかようにも変わっていけると思う。
こうして共にいられる幸せを感じる。
「慎弥…、いつまでもそばにいるから…」
淋しがらなくていいと思いを込めた言葉に、『分かった』と言うように小さな頷きが返される。
啄ばむくちづけを楽しんでいれば、慎弥から「もっと…」と舌を差し込まれる。
そんなことをされれば、繋がったままの箇所が硬さを取り戻すのはすぐのことだった。
慎弥の行動に、『積極的なんだかどうなんだかやっぱり良く分からん…』などと皆野が内心で思っていたかどうだか…。


慎弥に告げた『いつまでもそばにいるから…』を、どう勘違いされたのか、…いや、間違ってはいないのだけれど…。
数日のうちに岩槻から連絡を貰った皆野は、岩槻からの話に正直慌てた。
慎弥と岩槻の間ではすでに転職を了承したものと受け止められていたからだ。まぁ確かに期待する部分があったのだが…。
上着を脱いでソファの背もたれにかけただけで、携帯電話を手に呆然としながら腰かける。
あまりの事の早さに、やはり岩槻の計画性の高さを知らされた感じだ。
留守電に『折り返しの連絡を…』と岩槻のメッセージがあった時、落ち着いて話せた方がいいだろうと家まで帰ってきて正解だった。
こんな話は職場でできたものではない。
しかし『営業受付の代表代理』という肩書に思いっきり瞠目した。
「ちょっ、ちょっと待ってください。なんですかっ?!それはっ」
『”受付”と言っても受付案内の職種とは異なります。顧客と営業のパイプ役とでもいいますか。実質営業部の管轄になります。総合的な窓口として取りまとめる仕事になりますね』
聞きたいのはそういうことではなくて…。
驚愕で張り上げてしまった声も、質問の仕方がなっていなかったことに気付いてトーンが下がる。
「いや、いきなり『代表代理』…って…」
『えっ…と…。慎弥はいずれ私と草加さんで担っていく旨を伝えなかったんでしょうか?』
「………」

しばしの沈黙が流れた。皆野は岩槻の語る内容を理解するのに珍しく(?)時間がかかっていたし、岩槻は岩槻で慎弥と皆野がどんな話をしたのか想像できたらしい。
動きの全てが止まるとはこんな状態のことなのか…。皆野は携帯を握ったまま微動だにできなかった。
電話口の向こうで、ふぅぅ…と溜め息がつかれたのを感じ取れた。
『まぁ、慎弥が言うことですからね。そんなことだろうとは思いましたが…。すみません。私ももっと順を追って説明するべきでしたね』
「いえ…」
『今度お時間を作っていただけませんか?』
「はい…」
呆然としてしまった皆野は思考がうまく回らない。馬鹿みたいな返事を繰り返すばかりだ。
ツーツーという通話が終わった音を耳にしてから、ようやく現実の世界に戻ってきた気分だった。
返事を早まったか、という思いすら湧く。それはもちろん慎弥に対してではなく、慎弥と岩槻の仕事を一緒くたにして安易に返事をしてしまったことだ。
どうやら岩槻が計画していることは、皆野が想像していたものをはるかに超える規模だったらしい……。

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岩槻兄弟の取り合いになってきた皆野サン…。
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コメント | | 2011-08-18-Thu 10:13 [編集]
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Re: タイトルなし
コメントたつみきえ | URL | 2011-08-18-Thu 12:57 [編集]
K様
こんにちは~。
あちーです~っっ。(あちぃのはこいつらもだって?!)

> 皆野さん 慎ちゃんと出会ってから なんだか驚きの連続ですね。
> でも 引き抜きの話は、やりがいがありそう。
> お兄ちゃんからすれば、信用のおける デキる人に 重要な部署を任せられるわけだし、慎ちゃんにしてみれば 好きな人と 公私ともに 近くにいれるわけだし…。
> でも新事業となると、確実にホテル業務より忙しくなりそう。
> 寂しがりや慎ちゃん 大丈夫かな?

驚きどころじゃないですよね~。生活をすっかり変えられちゃいました。
岩槻家にとって好都合の皆野になっているんでしょうか。いえいえ、そんな、ねぇ。
お兄ちゃん、"ただの人"に自分の首は預けないでしょうし。相当信頼していると思います。
皆野にとっても充実した生活が待っていそうです。
忙しくなるでしょうが、そこはきっとフォローしてくれる人がいそうな気が…(←いやいや、それもダメでしょ)
公私混同はいけませんよ、お兄様(囁いてみる…)
コメントありがとうございました。
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